紙パ技協誌
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研究発表会特集
低坪量化に適したPAM系表面紙力剤
佐藤 翔子
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2013 年 67 巻 11 号 p. 1244-1247

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抄録

現在,環境負荷低減および省エネ,コストダウンの観点から板紙の低坪量化が進んでいる。低坪量化は紙力の低下を招くため,紙力剤による補強が必要となる。低坪量紙の強度を効率的に高めるためには,内添処方と外添処方との併用が有効である。紙力向上効果に優れる内添処方については既に報告しているので,本稿では外添処方について,低坪量紙での強度向上が特に難しい圧縮強さに焦点を当てて紹介する。
圧縮強さ向上には座屈の抑制が重要で,座屈を抑制する為には紙の曲げ剛性を向上させる事が有効である。本報告では,まず,紙力剤としてPAMを用い,PAMの浸透深さと紙の曲げ剛性との関係についてシミュレーションを行った。その結果,最大の曲げ剛性を示すPAMの最適浸透深さが存在する事が判った。そこでPAMの最適な浸透深さを達成する為に,外添処方におけるPAMの分子設計を行い,圧縮強さ向上の検討を行った。分岐構造を有し,高分子量かつ低粘性のPAMを使用する事で低坪量紙の効率的な圧縮強さ向上が図れることを確認した。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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