紙パ技協誌
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総説・資料
LeanE™―省エネへの取り組み
毛受 正治八田 章文
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2013 年 67 巻 11 号 p. 1284-1287

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抄録

TMPは優れた強度を有し,軽量化が進んでいる新聞用紙を代表とする軽量紙へ配合されてきた。一方,TMPは叩解を担うリファイナーおよび周辺機器での消費電力が大きいため,長年に渡り省エネの対象となりこれまでに様々な取り組みが行われてきた。メッツォペーパーが新たに考案したTMP用の省エネコンセプトであるLeanE™はAuditと呼ばれる手法を採用しており,弊社の技術者が直接訪問して操業中のTMP工程全体を調査・分析した上で,最新装置およびこれまでに蓄積してきた技術的な知見を総合的に組み合わせ,操業状況に合わせた最適な省エネ案を提案するコンセプトである。
LeanE™では,(1)耐摩耗性を向上した長寿命タイプの「フィードスクリュー」,(2)脱水能力を高め,プリヒーターでの加温蒸気量を削減する「プラグパイプ」,(3)叩解後のパルプの持ち込みをほぼゼロにまで低減した「機械式蒸気セパレーター」,(4)操業中にキャリブレーションが行え,プレート間隙をより正確に検出できる「ギャップセンサー」,(5)省エネタイプの「リファイナープレート」,(6)プリヒーター内のチップの偏りを低減し,安定したチップフィードが可能な「アジテーター」,等の最新装置を提案している。また,操業改善案としては,(7)叩解濃度を下げた「低濃度リファイニング」,(8)リファイナー台数を増やした「トータルでの省エネ」,等を提案してきた。本稿では,これらのアイデアを実際に採用し省エネや品質改善に取り組んだ実例も併せて紹介する。
LeanE™は本来TMP用として考案されたコンセプトではあるが,クラフトパルプ工程へ適用した実例も併せて報告する。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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