紙パ技協誌
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総説・資料
“ファイバー to プリント”コンセプトによる抄紙プロセスの最適化
―調成・抄紙プロセス制御から品質管理の包括管理―
ヤルコ ルオナーラユッカ ノケライネン石原 健一
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2013 年 67 巻 11 号 p. 1288-1294

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抄録

品質の改善とプロセスの最適化を検討するときには信頼性の高いプロセス管理が重要になる。プロセスの障害と固有の変動は,信頼性の高い計測データを必要とする制御システムによって説明することができる。
製紙プロセス全体を検討するとき,そのパラメータは,パルプ工程ではpH,カッパー価,伝導率と白色度,原料調成工程ではフリーネス,繊維形態,繊維と灰分の原料濃度,ウェットエンド工程では歩留り,電荷および化学的特性,抄紙機ではプロファイルおよび加工後の品質保証と紙試験などが挙げられる。
信頼性の高いオンライン自動計測機器,試験分析機器と組み合わせたMPC先端制御システムを導入し,計測・分析結果を用いてプロセスモデルの定期的自動再校正により,その変動を極小化し長期的安定運用できる。これによりプロセス安定を導きプロセス変動による生産リスクを減らすだけでなく,制御の焦点をプロセスの部分最適化から包括的な製品品質の最適化に移すことができるようになる。
本稿は抄紙工程における総合的な品質管理と最適化の可能性を提示し,原料調成工程の最適化を利用した最終製品の品質管理の事例を紹介する。

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© 2013 紙パルプ技術協会
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