紙パ技協誌
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総説・資料
製紙業界に於ける「AOKIクリーナー」の現状
―ブレード式キャンバス洗浄装置―
大高 成裕
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2013 年 67 巻 2 号 p. 125-130

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抄録

ここ数年の製紙業界は,古紙再利用の増加から粘着性異物を含め,抄紙機内に持ち込まれる異物が操業トラブルや品質トラブルの原因になることは少なくない。したがって,キャンバスの汚れも顕著となり,ドライヤーでの紙切れの発生,欠点の増加,ワインダーでの継手作業の増加,損紙量の増加による生産性の低下が急増している。
この対策として,スクリーニングの強化,ピッチコントロール剤の添加,ドライパートでは超高圧水洗浄機の設置やキャンバスロールのインサイド化などのさまざまな対策をするが,これらの対策だけでは限界にきているのが現状である。
弊社では,キャンバス洗浄方法として従来の高圧水洗浄機とは異なるブレード式キャンバス洗浄装置「AOKIクリーナー」を開発した。
AOKIクリーナーの本体は,本文写真1にある。以下に概略を述べる。
キャンバスのペーパーサイド面に,特殊硬質素材のブレードをキャンバス幅全面に,3列から4列を配置しブレードの先端をキャンバスの表面に均一に接触させ,キャンバスに付着した粘着性異物や紙粉を24時間操業中に洗浄している。キャンバスの表面に発生した汚れは,ブレードのフォイル現象によって吸い出し,掻き取られ,最終はセーブオールで回収される。
AOKIクリーナーの洗浄は,操業中に水を使用しないため,水分プロファイルの向上やキャンバスロール表面に錆の発生も無く,周囲の環境改善にも効果が現れる。特殊ブレードの開発により,従来の洗浄機とは異なる洗浄システムでキャンバス汚れによる操業トラブルや品質トラブルを無くし,操業安定と共に品質改善を可能にする洗浄装置である。
本稿では,そのシステムと効果及び現状の実機についてご紹介をする。

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