紙パ技協誌
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総説・資料
家庭紙用薬品の最新動向
吉谷 孝治
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2014 年 68 巻 11 号 p. 1267-1271

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抄録
家庭紙は,日本国内において人口減少のマイナス要因はあるものの,生活必需品としての浸透が進んでおり,今後も安定した需要が期待できる数少ない紙種である。その一方で,最近の急激な円安の影響で原燃料コストが上昇しているだけでなく,円安の状況下でも中国やインドネシアを中心とする安価な家庭紙の輸入量が増え続けている。そのため国内の家庭紙業界では,競争力をより一層高めるために,良好な風合いを目指す高品質化とコスト削減の動きが一段と強まってきている。
我々はこれらの要望に応えるべく新規に開発した風合向上剤とクレープ用接着剤について紹介する。
新規風合向上剤GTは,疎水性を高め,エマルションタイプにすることで,従来の風合向上剤に対して,紙力の低下度合いが小さく,優れた風合向上効果を与える特長を有している。実機テストにおいても,風合向上などの高品質化だけでなく,原燃料のコスト削減にも有効であることが認められている。
また新規クレープ用接着剤は,PAE樹脂の分子量を高め,軟化剤を添加することで,従来の非反応タイプの接着剤で課題であった耐水性の向上が認められており,さらに接着性の向上や皮膜硬さが軟らかい特徴を有している。新規クレープ用接着剤は,良好なクレープの付与による品質向上,クレーピングの断紙軽減などの生産性向上によるコスト削減に有効であると考えられる。
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© 2014 紙パルプ技術協会
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