紙パ技協誌
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68 巻, 11 号
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研究発表会特集
  • 木材科学 委員会
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1227-1240
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
  • 髙木 唯, 久米田 和寛, 梅内 士郎
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1241-1244
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    インクジェット適性を付与するシリカ系塗料にはポリビニルアルコールが含まれている。これは,塗料の保水性向上,紙へのインクジェット適性付与及びコート層強度向上に貢献しているが,塗料の流動性悪化による塗工適性への悪影響や塗料の高濃度化ができないことによる乾燥負荷増大の問題があった。
    この課題を解決すべく検討した結果,コアシェル構造を有するカチオン性塩化ビニルエマルションでシリカ系塗工液のポリビニルアルコールの一部を置換することで,塗料の流動性の改善に加え,コート層の耐摩耗性の向上が認められた。
    本稿では,カチオン性塩化ビニルアクリルエマルションの,塗料の流動性とコート層強度に及ぼす効果とそのメカニズムについて報告する。
  • ―通常法とカルマンフィルター―
    森 芳立
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1245-1251
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    紙パルプ操業において,プロセス状態や品質を推定して行くため,重回帰式を用いたソフトセンサー(仮想センサーとも呼ばれる)機能を利用することがある。重回帰式の係数値は,予め,統計解析で決めて行くが,その値は時間や操業変化と共に劣化,次第に合わなくなる。
    そのため,手分析による実測値情報を基に,重回帰式の「定数項(バイアス項)」の値を指数平滑法や一次遅れ補正法などの手法を用い自動補正,推定値を実値に合わせ込んで行く簡便な方法が古くから用いられている。ここでは,これを「通常法(バイアス補正法)」と呼ぶが,この方法では,重回帰式の中に含まれ説明変数の応答ゲインに相当する「回帰係数値」については変化しないことを暗黙に仮定している。
    本報では,この「通常法」を適用して,KP漂白工程に組み込んだ複数の重回帰式型のソフトセンサー機能を利用,データベースに同時保存されているプロセスデータを使った事後シミュレーションを通じて,重回帰式の「回帰係数値」と「定数項」の値全てについて,カルマンフィルター手法を適用,実データを使い統計的に,それらの値を同時補正して行った場合の計算結果を複数事例示すと共に,両手法による推定値の優劣,及び,時間に伴って逐次補正されていく重回帰式の係数値の安定性について比較,調査した。
    その結果,重回帰式による最終予測値は,両手法間において大きな差違は見られず,いずれも,良好,かつ,安定的であったが,カルマンフィルターを利用した自動補正の場合,特に多数の説明変数で構成されるモデルにおいて,重回帰式を構成する「回帰係数値」が,プロセスの物理的,化学的特性から見て逆方向に変化して行くケースが見られることがあり,その適用に当たっては十分な注意を払う必要があることが理解できた。
  • ―流通性試験について―
    森澤 純
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1252-1256
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    消費者庁が,平成24年12月に『トイレクリーナーの表示に関する実態調査』について公表した。この公表によると,製品のパッケージに「トイレに流せる」,「水にほぐれる」等と表示するためには,JIS P4501「トイレットペーパー」の「ほぐれやすさ」の品質基準を満たさなければならない。この品質基準をそのまま運用すると,トイレに流せる製品群の一部が消滅する恐れがある。
    しかし,この「ほぐれやすさ試験」は,「トイレットペーパー」のみを適用対象とした評価方法であるので,「トイレットペーパー」以外の製品に適用するには不適当な部分がある。そのため新たな「トイレットペーパー」以外の製品の評価方法が求められる。
    そこで当センターでは,湿式不織布・紙等で構成されている「トイレに流せる」製品群を評価する新しい「トイレに流せる製品群の評価システム(土佐方式)」の開発を行った。
    今回の発表では,その評価システムの流通性試験方法について紹介をする。
総説・資料
  • 畠中 宏道
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1257-1261
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    塗工印刷用紙及び情報用紙は,光学特性や印刷適性を向上させる目的で,填料とよばれる無機粒子(タルク,カオリン,炭酸カルシウムなど)が添加されている。また,コスト・機能性のメリットから安価である炭酸カルシウム(炭カル)の使用比率が年々上昇傾向にある。
    このように炭カルは重要な填料であるが,使用量の増加により紙中の灰分量上昇を招き,紙力の低下が懸念される。そこで弊社では,従来型の内添薬品に加えて,炭カルの粒子表面を改質する研究にも着手し,「炭酸カルシウム処理剤」を開発した。本薬品は,弊社PAM重合技術と新素材を融合した新規薬品であり,炭カルスラリーへ混合するという簡便な方法で使用することができる。また本薬品で処理した炭カル(処理炭カル)を使用することにより,処理しない場合に比べて灰分歩留りや紙力面での改善効果が得られ,カチオン澱粉(CS)や内添PAMの併用によって相乗的な効果も得ることができる。また,炭酸カルシウム処理剤によるこれらの効果は,炭カル添加量が多い条件下において顕著であった。
    製紙会社にて評価いただいた結果,炭酸カルシウム処理剤は,CSや内添PAMに比べて添加量が少ないにも関わらず,紙力の上昇を確認することができた。また実機での適用において,操業性に与える影響は見られなかった。今後,さらなる炭酸カルシウム添加量増加条件への適用,従来の内外添薬品との併用による処方の最適化により,高灰分化に向けた処方を確立していく所存である。
  • ―操業改善と品質向上―
    和田 敏, 小澤 芳弘, 田口 千草
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1262-1266
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    国内の製紙業界では,資源の有効利用,省エネルギー,環境保全の観点から古紙を原料として使用しており,その利用率は64%に達し,板紙単独では92%と,ほぼ限界に近いとされる割合に近づいている。古紙の利用率の増加に伴い,紙製造工程中で,古紙中に含まれる粘着性物質いわゆるピッチが増加し,欠点や断紙など品質低下や操業性悪化の原因となっている。そのため,さらなるピッチコントロール技術の向上が望まれている。ピッチコントロール剤はピッチ対策の一環として広く用いられており,凝結剤を含め様々な成分や作用機構を持つ薬剤が適用されているが,古紙中の粘着剤由来の障害に対応する効率的なピッチコントロール剤が望まれていた。
    そこで,弊社は「ピッチを繊維へ定着させ,不粘着化する」というコンセプトの基に新規ピッチコントロール剤「スパンプラス®500シリーズ」を開発した。
    本報ではスパンプラス®500シリーズの特長と,古紙ピッチに起因する障害が発生していた紙製造工程へスパンプラス®500シリーズを適用することで,操業改善および品質向上を達成した事例について紹介する。
  • 吉谷 孝治
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1267-1271
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    家庭紙は,日本国内において人口減少のマイナス要因はあるものの,生活必需品としての浸透が進んでおり,今後も安定した需要が期待できる数少ない紙種である。その一方で,最近の急激な円安の影響で原燃料コストが上昇しているだけでなく,円安の状況下でも中国やインドネシアを中心とする安価な家庭紙の輸入量が増え続けている。そのため国内の家庭紙業界では,競争力をより一層高めるために,良好な風合いを目指す高品質化とコスト削減の動きが一段と強まってきている。
    我々はこれらの要望に応えるべく新規に開発した風合向上剤とクレープ用接着剤について紹介する。
    新規風合向上剤GTは,疎水性を高め,エマルションタイプにすることで,従来の風合向上剤に対して,紙力の低下度合いが小さく,優れた風合向上効果を与える特長を有している。実機テストにおいても,風合向上などの高品質化だけでなく,原燃料のコスト削減にも有効であることが認められている。
    また新規クレープ用接着剤は,PAE樹脂の分子量を高め,軟化剤を添加することで,従来の非反応タイプの接着剤で課題であった耐水性の向上が認められており,さらに接着性の向上や皮膜硬さが軟らかい特徴を有している。新規クレープ用接着剤は,良好なクレープの付与による品質向上,クレーピングの断紙軽減などの生産性向上によるコスト削減に有効であると考えられる。
  • Julien Mesnager, Vahid Noeei, Omkar Chandorkar, Steven Bloembergen, Do ...
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1272-1279
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    エコシンセティックス社は2006年に製紙用のバイオラテックス「Ecosphere®」を発表した。
    バイオラテックスは高い接着強度をもち,また独特なレオロジー特性,塗工適性,光学特性に優れている。
    「水に膨潤し変形可能な内部架橋したナノ粒子で構成されている」という研究成果よりバイオラテックスのユニークな挙動メカニズムが提案されている。
    バイオラテックスは,石化系バインダーに対して技術的な競争力をもち,代替ができるバインダーである。洋紙・板紙分野において,バイオラテックスを塗工カラーに処方した場合,SBラテックスやSAラテックスの20―50%を等量置換することが可能である。
    本報文ではエコシンセティックス社の製品開発の展望を紹介し,バイオラテックスに斬新な機能をもたせ,性能を向上させるための品質改良における研究事例を振り返る。
    この新しいアプローチにより,特にオフセット印刷用の下塗り,上塗りカラーにおける石化系ラテックスの置換を高い割合で出来るようになり,性能向上及びコスト削減が期待されている。
  • 牧野 俊輔
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1280-1282
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    (株)共立合金製作所は1938年に創立し,自社製超硬合金を応用してスプレーノズルの製造を開始した。
    以降,様々な産業で広く使用されて今日に至っている。
    ノズルには液体のみを噴射する一流体ノズル,空気を噴射するエアーノズル,液体と空気を混合して噴射する二流体ノズルがある。
    また,ノズルはオリフィス形状や内部構造を変化させることによって様々な噴射パターンを形成することができ,ニーズに合わせた対応が可能である。噴射パターンにはストレートパターン,フラットパターン,フルコーンパターン,ホロコーンパターンなどがある。
    近年,抄紙機の大型且つ高速化によってノズルに対する要求は益々厳しくなり,今や精密部品の一つとして考えられるようになった。
    本稿では抄紙機で使用される一流体ノズルの使用事例及び,ストレートパターンとフラットパターンノズルの性能・特徴を中心に紹介する。
    また,ノズル性能を確認する上で欠かせない代表的な実験設備についての説明も行う。
  • Sönke Hübner, 宮澤 崇
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1283-1285
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    湿潤分散剤は顔料を含むあらゆる塗工液を設計する時にとても重要な役割を果たしてくれる添加剤である。適切な湿潤分散剤は,顔料/液体間の固/液界面張力を下げて,機械的エネルギーによって脱凝集した高いエネルギー状態にある一次粒子顔料を液相中で安定化する優れた機能を持っている。
    適切な湿潤分散剤を正しく使用することによって,処方中の顔料濃度をより高くすることができるようになるだけでなく,高濃度配合でも低粘度化ができ,なおかつ紙基材面或いは別の乾燥塗工膜面への塗工液の濡れ性を大きく改善することができる。
    カーテン塗工においては,湿潤分散剤は特にカーテン膜の安定性や弾性の改善に極めて効果があることが知られていて,Point of Impact後のElongation Zoneでの塗膜面のレベリングも改善することができる。
    本報告は,カーテン塗工処方によく使用される重炭酸カルシュウム(Ground CalciumCarbonate)の表面処理の違いが,分散された後のSlurry粘弾性プロファイルにどのように影響を与えるかを,化学構造の異なる湿潤分散剤を用いて評価検討したもので,Haake CaBER測定データーから,同GCC Slurry粘弾性と(カーテン塗工時のBack Side Coatingのリスクのない)カーテン膜安定性との相関性を考察したものである。
    その相関関係に湿潤分散剤は大きな影響を及ぼすことがわかる。
  • 杉浦 宣行
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1286-1289
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    日本製紙株式会社勿来工場では,コーターで塗工した原反を小巻取りワインダー(以下スリッター)で巻取製品に加工処理している。塗工欠陥など,原反の欠陥部分を取り除くためには,欠陥位置情報を元にスリッターで検紙・除去・継手処理を行わなければならないが,その欠陥位置情報の精度が低いために検紙範囲が広くなり,効率低下の一要因となっていた。また,欠陥部分を発見できない場合は損紙となり,仕上工程での製品歩留低下を招いていた。そこで,これらの問題を解決するため『欠陥位置情報システム』を導入し,問題の解決を試みた。
    今回の欠陥位置情報システムでは“複数コーター対複数スリッター”でシステム構築した。まず,コーター側ではIJマーカーを各1台設置して,塗工距離をバーコード印字させる。スリッター側では上出/下出対応用に各2台設置したバーコード読み取りカメラで塗工距離を読み取ることにより,コーター塗工時の欠陥位置情報を取得する。この連携により,かなり手前から行う必要があったスリッターでの徐動検紙作業が,欠陥位置から±1mの精度で停止可能となり,欠陥部の検紙・除去・継手処理作業が軽減された。
    システム設置以前は,欠陥除去作業に平均で12分を要していたが,システム設置後は7分に短縮することが出来た。検紙・除去・継手処理に掛かる時間は3分以内ということであり,ほぼ最短に近い時間である。
    これによりスリッターの処理能力アップと仕上工程での製品歩留向上につながった。
  • 大竹 桂司, 山田 祐司
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1290-1299
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    近年,包括安全指針・労安法・安衛則等の改正によりにユーザーとメーカーの安全意識は高まってきている。しかしながら,規格法令が複雑化したことと安全機器が技術の進歩により多種多様化されたことから,求める内容を正しく理解して「何が本当に危険なのか」「何が最適な保護方策なのか」を見極め,「安全性・経済性を考慮」したうえで適切な安全防護を行っているケースは少ない。特に,紙パ市場の設備においては,ローラ部を稼動させながら作業者が接近しなければならない。また不用意に停止を行うことは再稼働に要する手間から避けたいと言う思いが強く,機械設計者や現場の安全担当者は常にどこまで対策すれば許されるのかのジレンマと戦っている。
    究極の安全とは,人と機械が同じ空間に存在しないことである。そのためには,全ての工程において完全自動化の機械とするか,人型ロボットが全ての作業を行なってくれるかのどちらかであるが,その時代はまだ遠い先である。従って,今は今の時代の最善の技術をもって空間または時間による区分けで,可能な限り,人と機械が交わる機会を正しく減らすことが求められる。
    本稿では,機械安全の根幹となる『隔離と停止』『安全確認型システム』の考え方を,いくつかの事例を交えて機械アプリに合わせた安全機器の展開方法を説明していく。
  • 内村 浩美
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1300-1304
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    紙産業界では,電子媒体の急速な普及や経済の急激なグローバル化に伴い,国内の紙の生産量は低迷しており,新規需要の開拓と海外製品との差別化が求められている。
    その一方で,近年の紙製品の拡がりは著しいものがある。例えば,電気・電子分野,自動車分野,医療・介護分野,食品分野等において,機能性シート状素材としての用途が拡がっており,機能性材料等を活用した新たな紙製品の開発が望まれている。このような研究開発を推進するために,平成26年4月,全国の大学で初めての紙産業に特化した研究センターを愛媛県四国中央市に設立した。
    愛媛大学社会連携推進機構紙産業イノベーションセンターは,紙産業に関する学際的な研究及び教育を行うことにより,紙産業の発展につながる研究開発を推進するとともに,本センターで開発した新技術や先端研究の実用化を促進することを目的として,愛媛県産業技術研究所紙産業技術センター内の一角に設置された。本センターでは,紙産業界の発展に資する研究を推進するために,3つの研究部門と1つの研究支援室を設置した。
    (1)製紙技術研究部門  :現在の製紙・紙加工に関する課題解決と製紙技術の高度化に向けた研究を行う。
    (2)紙製品研究部門   :機能性材料等を紙に付与することにより,新規紙製品を開発する。
    (3)機能性材料研究部門 :各種原材料の新たな機能を探求する。
    (4)地域連携・研究支援室:新技術の実用化を推進するために,市場調査やマーケティング戦略,特許戦略,企業との調整等を行う。
    本センターでは,以上のような研究開発体制で各部門相互が有機的に連携し,一体となって研究開発を実施するとともに,地域紙産業界や自治体との連携を密にすることで,開発技術の迅速かつ円滑な技術移転及び実用化を目指す。
  • 2014 年 68 巻 11 号 p. 1305-1309
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    Our company is established in 1978 as a pest control company and has grown up to be a company providing a total hygiene managing service for many kinds of clients such as food factory, pharmaceutical factory, packaging factory, etc. Service includes environmental monitoring and validation, inspection and examination, microbial control, education and consulting related to hygiene management, support service for certification, besides pest control operation. In this paper, we introduced our original current technology contributing to total hygiene management.
技術報文
  • 友田 生織
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1311-1316
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    過硫酸はリグニン分解能力のある漂白薬品として知られていたが,近年,ヘキセンウロン酸を除去する能力があることが報告されている。
    本報文では,過硫酸によるパルプ漂白の特徴および実機への適用条件について検討した。過硫酸漂白(Px)段のリグニンの分解はpHl.5~5.0の間で一定であった。ヘキセンウロン酸の分解はpHの影響が大きく,pH3.0で最大であった。Px段のpHを下げるとパルプの品質が低下した。ヘキセンウロン酸の分解には60分以上の処理時間を設けることが効果的であった。これら,Px段の特徴は,他の漂白段と同程度の条件でできることを示していた。
    そこで,ラボテストにて,Px段の適用を検討した。一つは,Z―ECFの酸洗浄段をPx段に転換した場合,もう一つはD―ECFの最初の処理段として行う酸性過酸化水素段を転換した場合である。それぞれ,Px段への転換によって,ヘキセンウロン酸の減少と二酸化塩素添加率の削減が確認された。この効果は,実機へ適用しても確認され,2007年6月に富岡工場,2012年1月に春日井工場にPx段を導入した。
  • Iori Tomoda
    2014 年 68 巻 11 号 p. 1317-1323
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    Peroxymonosulfuric acid has been examined as bleaching agent which has ability of delignification, not as degradation agent of hexenuronic acid.
    We revealed, in this study first the reaction mechanism of peroxymonosulfuric acid which has some characteristics during pulp bleaching. It was found that lignin degradation proceeded at almost the same rate in the range of pH 1.5 to 5.0. The most effective pH for degradation of hexenuronic acid (HexA) was 3.0. The peroxymonosulfuric acid treatment at low pH resulted in the decrease of fiber qualities. A treatment for more than 60 minutes was required for the sufficient degradation of lignin and HexA. It became apparent that the condition of peroxymonosulfuric acid (Px) stage was similar to another bleaching stage.
    We confirmed that the effect of converting a common bleaching stage into Px stage in a laboratory test ln a trial an acid-washing stage was converted into Px stage in Z-ECF, and in the second trial acidic peroxide stage, which was introduced as the first stage in D-ECF, was converted into Px stage. It was confirmed that the beneficial effects of conversion were mainly decrements of hexenuronic acid and of chlorine dioxide consumption in both cases. These effects also confirmed in mill scale, and therefore we installed peroxymonosulfuric acid bleaching stage in June 2007 at Tomioka mill and January 2012 at Kasugai mill.
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