2016 年 70 巻 10 号 p. 1007-1013
抄紙工程の後半で紙はカレンダーパートにて圧力を掛けて組織を緻密化させ,リールパートで次工程の処理に適した形に巻上げられる。カレンダーは古くからハードニップとソフトニップのタイプに区分され,それぞれの適用する範囲を棲み分けていた。技術の進歩,特に樹脂性弾性ロールの発達はソフトニップカレンダーでの連続操業を可能にした。現代のカレンダーはそれぞれの特長を生かしながら互いに適用範囲を広げている。
また従来のロールニップに代わる新しいタイプのカレンダリングも市場に登場し認知されつつある。リールパートは抄紙機上で唯一の連続プロセスから断続プロセスに移る工程であり,巻き取りロールそれぞれの品質安定性や枠替えの信頼性が要求される。下巻き損紙を少なくし,巻きズレや紙表面を損傷無く巻上げるには適正な巻き取りニップ圧と張力が不可欠でセンター巻き方式は有効な手段の1つとなっている。また高水圧を利用した新しい枠替え技術は信頼性とともに下巻き損紙の削減も達成した。
本稿に於いてカレンダー,リールパートのそれぞれについて要求事項を挙げて,その為の技術的な変遷を整理し,Voith社の製品を中心にこのパートでの最近技術を紹介させていただく。