2016 年 70 巻 10 号 p. 1044-1048
近年の製紙業界を取り巻く環境は大きく変化している。原料については,資源の有効利用や省エネルギー,環境保全の観点から,古紙原料の回収率,利用率の向上を行い,粗悪古紙の利用も検討されている。板紙の古紙利用率は,93.2%となっており古紙原料の影響による操業への影響が予想される。しかし,古紙原料の影響や多品種小ロットによる操業条件の変動による製品への影響が発生しやすい状況下でも,厳格化されたユーザー品質を維持し,さらに生産効率を向上させなければならない。
そこで,本報告では製紙で用いられる多量の水に着目して,原料古紙悪化が進む中でも,品質と生産効率の向上を実現できるS.sensing®システムについて紹介する。本システム適用による水質と操業の関係解析から,水質をコントロールすることでウェットエンドや操業の改善が図れることが定量的に確認された。