2018 年 72 巻 6 号 p. 616-619
ほぼすべてのドクターポジションは,何らかの形で改善できるとされている。ドクタリングに係るコストとして,ドクターブレードに費やされる費用には注目されているが,ドクタリングはドクターブレードやホルダーのコストをはるかに上回るコストに影響している。ドクタリングのコストには消耗品などの目に見えるコストと,不適切なドクタリングによって引き起こされる過度な脱水コスト,ロールカバーやファブリックスの摩耗,断紙などの目に見えないコストがある。これらのコストはドクタリングの最適化により改善することが可能である。
ドクタリングは各ポジションによって要求されるものが異なるため,最適化の方法についても各ポジションによって異なる。ドクターブレードのライフタイムの向上,エネルギー消費量の削減,走行性の改善などが挙げられ,様々な観点からアプローチすることができる。エアーブレードを使用しているポジションでは,ValDualドクターブレードに置き換えることによりエアーの消費をゼロにすることができ,ドライパートでは,摩擦係数の小さいドクターブレードを用いることにより駆動装置のエネルギー消費量を抑えることができる。また,ドクターブレードの単価は上がるが,ドクターブレードのライフタイムを向上させることにより,年間で考えれば結果的に安価になることもある。このように,各ドクターポジションに合わせた最適化を実施することが重要であると考える。