2018 年 72 巻 8 号 p. 930-939
1970-1975年は,石油の価格が急騰,資源の有限を警告したローマクラブの報告,それに先立つ高度成長による環境劣化が重なり,社会の考え方が変わり,それに合わせて社会構造も変化した時期であった。製紙産業は,自由化,原木の高騰,環境汚染等から,その存続に危機感を持った。
環境対策では,排水処理を中心に,5年間で8,000億円以上の設備投資で環境汚染を許容できるレベルまでに抑え込んだ。原料対策では,広葉樹の利用,輸入チップの拡大,新聞用紙向けの古紙利用技術の開発で,供給にある程度の見通しを得るまでになった。
生産面での技術が大きく革新されたのがこの時代のもう一つの特徴であった。その核となった技術が半導体技術であった。この技術革新は日本の製造業全体で起きており,世界に先駆けて導入・開発することで日本を世界に輝かせた。この時期,製紙産業では旺盛な設備投資が続き,それを機会として,製紙産業と海外技術のライセンシーとなった日本の設備メーカーとの間で,独特で緊密な技術協力の関係が作られ,それが日本の生産技術を世界のトップレベルにまで引き上げた。製紙産業にとっては輸入紙に対する競争力を生み出した。
次号ではこの時代のエネルギー対策,国際競争力を紹介し,総括する。