紙パ技協誌
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総説・資料
紙パ技協誌の新たな発展に期待して
第4回:紙パ技協誌の文理融合型雑誌への転換は可能か
尾鍋 史彦
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キーワード: Z2紙パルプ産業一般
ジャーナル 認証あり

2020 年 74 巻 7 号 p. 727-729

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抄録

2019年12月に公表された第6期「科学技術基本計画」(対象年:2021-2025)の従来の計画と異なる大きな特徴は人文・社会科学を科学技術の支援のために導入すべきとの提案が中心に据えられていることである。今後の科学技術の高度な発展のためには科学技術が生み出す負の側面を含めた様々な問題を解決する手段として倫理・法・哲学など人文・社会科学系の学問分野も法の対象とすると謳われている。2015年6月の文部科学省通知により生じた「国立大学文系不要」論争の時代から見ると,隔世の感があり,わが国の科学技術政策における文系重視という方向への大転換といえる。またこの計画の公表後,理系と文系を融合または統合した文理融合型研究や学術体系の構築の必要性が叫ばれるようになった。

紙パ技協誌の現状を打破し,新たな地平を拓くための一つのアイデアとして筆者は紙パ技協誌の文理融合型雑誌への転換を提案しているが,前回触れた近代組織論が示すように組織の新たな構造改革には必ず現状維持に拘る抵抗勢力が存在するので,組織内で合意に至るのは容易ではないだろうが,ポストコロナの時代の雑誌の一つの姿として真摯に検討する価値はあるだろう。

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© 2020 紙パルプ技術協会
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