紙パ技協誌
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総説・資料
スクリーンを利用した繊維回収フィルタの新技術
堂阪 敏夫
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キーワード: M3スクリーン
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2022 年 76 巻 11 号 p. 996-999

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抄録

新しい繊維回収フィルタとは既存の濃縮機や洗浄機の白水に含まれる繊維をスクリーンで回収する技術である。このスクリーンには新しく開発された最小直径50 μmからなるFRBと呼んでいる微小丸孔バスケットを採用している。このFRBの大きな特徴として,まず微小丸孔プレートを波型形状にすることで,プレート強度を上げながら開口面積を増やすことに成功した。次に波型形状したプレートによりロータによるプレート表面のクリーニング効果の大幅な改善を達成し,従来のプレーンなバスケットに比べて,高圧洗浄する頻度が半分以下となった。最後に,組立式バスケットを採用しているため,消耗したプレートのみ交換することでバスケットの再生が可能となった。
たとえばLBKPを処理した洗浄機の白水を繊維回収フィルタで処理することで,繊維長が0.5 mm以上ある有用繊維を64%以上回収することができる。さらに新しい繊維回収フィルタは,濃縮機や洗浄機の白水から繊維を回収するだけではなく,フローテータフロスからの繊維回収,低処理量の濃縮機,白水中の異物除去など,他のアプリケーションに展開できる可能性を秘めた新技術である。

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