紙パ技協誌
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研究報文
木材パルプ複合紙の開発と土壌分解性の評価
タンカンパイ コッチャポーンミル イハラ パオラ マリア江前 敏晴
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キーワード: S0その他
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2024 年 78 巻 4 号 p. 333-340

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抄録

プラスチック廃棄物は,処理施設の不足もあって,不用意に環境に排出され,環境に対する地球規模での主要なリスクの1つとなっている。さらに,プラスチックの製造過程では,CO2が発生し続け,温室効果ガスとして地球温暖化の原因となっている。国連で採択されたSDGsのうち,特に「13:気候変動に具体的な対策を」は,特に重要で,地球の天然資源を保護し,気候変動に対処し,持続可能な開発の促進を目指す。本研究ではこの目標達成を視野に入れて,生分解性ポリマーを活用した紙系コンポジット材料の開発を行った。セルロース,キトサン,及びその他の天然ポリマーやポリカプロラクトン(PCL)は生物によって分解されるため,PCL-セルロース複合体は,配合比や製造方法を適切に設定することにより,多様な機械的物性を付与して用途開発の自由度が広がるうえに,コンポジットそのものが生分解性材料となる。本研究では,従来の製紙技術を応用してPCL-セルロース複合体を製造する技術を開発した。その複合体の土壌中で分解速度のほか,機械的,化学的,熱的,及び構造的特性を調べたので報告する。

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© 2024 紙パルプ技術協会
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