紙パ技協誌
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最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
新入社員歓迎号 ⁄ 設備診断 ⁄ 保全・計測 ⁄ 分析・仕上 ⁄ 防虫特集
  • 福島 一守
    原稿種別: 講演記事
    2024 年 78 巻 4 号 p. 265
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり
  • ―AIアルゴリズムによる全自動診断 低圧三相モーターに特化した予知保全―
    榎原 史朗
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 266-268
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    予知保全とは,設備や装置の故障・異常を予知し,効率的な保全を行う考え方である。 予知保全の導入により,異常を事前に検知し,メンテナンス対策を取ることが可能で,突発的なトラブルを防ぐことができる。

    従来の予防保全では定期的なメンテナンスが行われるが,必要以上にメンテナンスを行ってしまう問題や突発的な異常を捉えられない問題がある。

    そこで,新たな手法として「状態基準保全(CbM)」が注目されており,センサーや解析の進化により,設備や装置の状態を把握し,故障・異常を予知することが可能である。

    「Smart Motor Sensor(SMS)」は,三相誘導かご型モーターの故障を予知するためのソリューションである。振動や温度などのデータを収集し,クラウドで解析することで,モーターの状態を判断する。

    SMSはセンサーを装置に取り付ける際の容易さやセットアップの簡便さ,学習モデルによる自動判定など,従来のCbMの障壁を解消し,モーターの異常や劣化を正確に判断することができる。また,SMSはモーターの機能ごとに異常を判定し,状態推移や劣化の傾向を把握する能力を持っており,ダッシュボードやスマートフォンアプリを通じてユーザーに結果を提供する。APIを使用して他のシステムと連携することも可能で,複数の設備の判定結果を1つの画面で確認する効率的な管理が実現できる。SMSは,従来の予防保全に代わる新たな予知保全の手法として注目されている。

  • 東 修
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 269-272
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    アンリツは,国内紙パルプ企業保有の循環流動層ボイラを対象に2022年冬より技術検証を行い,のべ10回の計測を実施した。ボイラ特殊環境での測定時におけるノウハウを獲得し,一年で倍以上の測定速度向上を果たした。結果分析にかかる時間も数日から1,2日程度に短縮している。当技術はNDT用途に特化したソフトウェアUI開発が肝要となるため,ソフトウェア開発先と連携を深めている。現在超音波検査を正とする電気事業法の検査要領も,将来3Dデータと超音波検査のデータの相関性が蓄積されれば,有効なスクリーニング方法として認知され,ボイラ減肉検査の時短と安全操業に寄与すること大と考える。加えて,3Dスキャナはボイラ側面水管だけではなく,耐火材,パイプ,タンク,回転体のブレードなどおよそ表面が摩耗するものに関しては形状評価できるものであるため,プラント向けNDT技術として広範囲に技術の認知をはかっていきたい。

  • ―レーザーリングジャイロを使用したロール平行度測定技術を紹介―
    並木 侑太, 藤本 啓介
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 273-277
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    多種多様な紙を製造している設備があるが,共通してロール設備を使用している。

    坪量を下げたものを生産したい,ラインスピードを上げたいが問題が起きるので控えめにしている。

    こういった問題で,念頭に上がる要因の一つとしてロール平行度がある。限られた設備の停止期間で,正確な平行度を測定し問題解決の糸口にしたいが,短期間では測定ができない。また,設備間の構造物やフロアの違いで正確な平行度測定ができているのか不安要素が多くあり,測定をしても結果に対し疑念があがり修正計画を立てられない。

    このような問題を解決できるのが,宇宙・航空工学で利用されているリングレーザージャイロを用いたロール平行度測定器パララインである。

    従来,ロール平行度を測定する際に精度面で問題となるのは,ロール間の距離,ロールの大きさの違い,比較するロールのフロアや部屋の違いなどであった。この度紹介するロール平行度測定器では前途の内容は影響せず,一つの基準で全てのロールを1対1で比較,高精度での測定が可能である。

  • 渡邊 洋平
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 278-280
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    当染めQテクノロジィは世の中の「困った」を解決する技術開発研究所。独自の技術である「ナノ接着技術」と「新素材による補強技術」を使用することで,劣化したコンクリートや鉄部などの補強・長寿命化が可能。劣化した物を交換せずに新素材を塗布し補強をすることで,無駄な産業廃棄物が発生しない,かつ,大幅なコスト削減を実現させることができる。さらに,低温化や湿潤面への塗布,ケレンを必要としない防錆塗料など,工場内外部および構造物の種類を問わず幅広く活用されている。すでに多くの実績があり,民間だけでなく公共事業にも拡大している。

  • ―第5世代自動紙試験機の活用―
    依田 裕道
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 281-287
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    2050年までのカーボンニュートラルな日本にするために,産業界全体への生産プロセスの改善・転換のプレッシャーが年々強くなっています。また日本,そして素材産業ならではの問題として,人口の減少,魅力的なIT産業への人材流出により,素材産業は優秀な労働力を確保することが難しい状況にあります。一方で,「紙」は人に,そして環境に優しい最良の材料であり,近年の脱プラスチックの流れと新素材への期待から,今後多くの可能性を秘めた材料でもあります。

    本稿では,抄紙機のCD品質の最適化を自動紙試験機で実施した事例について,ABBの最新機である第五世代自動紙試験機 Autoline-S/Lの特長を踏まえながら説明する。

    抄紙機においてCD品質の安定化は永遠のテーマである。一般的かつ有効な手法としてQCSがある。QCSでは坪量,水分,灰分などの計測が可能だが,オンラインであることから直接紙に触れて計測する,強度特性は計測が出来ない。またロールに対してジグザグな計測であり,純粋なCD品質のばらつきを捉えることは出来ない。当然ではあるが,手動測定のよる紙試験では,機器や作業者数の点から,多点計測を実施することは出来ない。

    ABBの第五世代自動紙試験機は,CDの複数の特性(透気度,平滑度,厚み,水分,破裂,引張,引裂,坪量など)を同時に計測することで,短時間で高精度な計測が可能である。製造直後のロールから試験片を採取し,最短10分でCD品質プロファイルを得ることが出来る。CD品質プロファイルから,プロセスの何を調整すべきか,見当をつけることが出来,ロールが製造されるたびに,適切な調整が可能となる。

    過去の導入事例では,上記により生産性は1.5%向上,クレーム品は20%削減,薬品の過剰投入は5%抑制することが可能になった。また測定は完全に自動化,かつ高速であるため,計測者の人員削減という効果もあり,プロセスを改善しながら,固定費を下げることで,スムーズな投資回収を実現が可能になる

  • 谷川 和美
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 288-291
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    ティシュー等の紙製品の手触り感,柔らかさは顧客が直接評価でき,その製品が選ばれる上で重要な因子であるが,手触り感評価は多くの場合,人が実際に触ったときの感触で評価し数値化している。しかし人による評価は主観的で個人や性別,国柄,天気や気分にさえ影響を与えるものであり,客観的に評価できる装置が望まれている。独国emtec社製のソフトネス測定装置 TSAは,手触り感を評価する装置である。音響と応力を測定することで,“本当の柔らかさ”,“滑らかさ/粗さ”,“剛性/柔軟性”の3つのパラメータを得ることができ,さらにこの数値から実際の手触り感と相関を持たせたアルゴリズムにより得られるハンドフィール値(HF値)を得ることができ季節や天気に左右されずに人の手の評価をシミュレーションすることができる。さらに不織布等をターゲットとした新しい測定法が開発された。従来の方式では細孔の大きなサンプルでは音響測定の感度が悪い問題があったが,プラスチックフィルムをサンプルの下に敷くことでサンプル間の細孔度の差の影響をなくし十分な感度で音響測定を行うことが可能となった。TSAを用いることで天気やパネリストの気分の差に左右されず客観的に手軽に評価でき,工程間にも取り入れることが可能なため品質改善,工程管理,開発にも役立つことが期待される。

  • 木村 悟朗, 草間 俊宏, 渡邉 裕行
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 292-294
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    白色LEDの発光方式として,青色LED+黄色発光蛍光体は発光効率と製造コストの点で優れているため現在最も普及している。一方,この発光方式では青色と黄色に偏った分光分布となり,演色性が低いという課題がある。近年,高演色性を特徴とする高演色LEDと太陽光に近い分光特性を持つ太陽光LEDが製品化されている。各LED照明は大半が可視光内にあり,近紫外線をほとんど含まないため,昆虫の誘引を抑制できると考えられている。しかしながら,高演色LEDと太陽光LEDの防虫効果については十分に検討されていない。本研究は,白色LED,高演色LED,太陽光タイプLED,および試作防虫LEDの誘虫性能を評価するために室内試験を行った。試験にはイエバエとクサビノミバエを用いた。高演色LEDは,白色LEDに比べてイエバエの捕獲数が有意に多かった。白色LEDに比べ,太陽光LEDで捕獲されたイエバエとクサビノミバエの数が有意に多かった。イエバエの捕獲数は,高演色LEDよりも太陽光LEDの方が有意に多かった。白色LEDで捕獲されたイエバエは,試作防虫LEDで捕獲されたイエバエよりも有意に多かった。この結果から,高演色LEDと太陽光LEDは,白色LEDよりも高い誘虫力を持つことがわかった。一方,試作防虫LEDは白色LEDよりも誘引力が低い。これらの結果から,昆虫の誘引性は紫外線だけでなく可視光にも影響されることが示唆された。

  • 石崎 健郎
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    紙パルプ業界の防虫防そ管理を適切に進めていくには,各種モニタリングデータの活用と対策立案に関して十分に効果や効率を検討する必要がある。

    まず,モニタリングデータの活用においては捕虫器等による調査結果だけでなく,他のデータを紐づけていくことが重要であり,特に「欠点検知データ」は,実際に製造ラインや製品に混入しているという点から優先順位の高い情報であり,活用方法を明確化しておく必要がある。また,風向風速等の原因系に関するデータは予防的管理のために有効である。一方,各種データの活用にあたっては「守るべきエリアの明確化」などリスクベースの観点が重要となり,その評価においては相関分析などの手法を活用すると効果的な場合がある。

    次に対策面については,工場で捕獲されている昆虫の特性に基づいて検討していくことが大前提となる。そのうえで,特に外部侵入性の飛翔昆虫については,外周部から製造工場への接近防止,外周部から製造工場への侵入防止,工場内での昆虫拡散及び重要ラインへの接近防止,工場内での内部発生防止,という昆虫移動経路の段階に沿って対策を組み立てていくと考えやすい。そして各段階の対策には捕獲や殺虫,間仕切りや送風,5Sの徹底などがあるが,それぞれにメリットだけでなくデメリットやリスクなども十分に考慮したうえで選定していくことが重要である。

  • 先名 康治
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 4 号 p. 301-318
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル 認証あり

    日本製紙連合会は日本経団連加盟の他の業界団体と共に,1997年より環境自主行動計画を策定し,毎年その取り組み状況を公表して来た。2013年度からは2030年度に向けて新たな環境行動計画として「低炭素社会実行計画」(2021年度に名称変更で「カーボンニュートラル行動計画」となった)を策定し,地球温暖化防止に積極的に取り組んでいる。その活動目標は以下の通りである。

    ① 国内の生産設備から発生する2030年度のエネルギー起源CO2排出量を2013年度比38%削減する。

    エネルギー起源CO2=化石燃料起源CO2+購入エネルギー起源CO2―販売エネルギー起源CO2

    ② 2030年度までに1990 年度比で 37.5 万 ha 増の国内外の植林地面積を65万haとする。

    2023年度のフォローアップ調査結果(2022年度実績)によると,2022年度の実績CO2排出量は,1,434万であり,前年度に対し150万t(9.5%)の減少となった。また,2022年度のCO2排出原単位の実績値は0.674 t-CO2/t となり,前年度の0.720 t-CO2/tより大幅に改善している。これは,これまでの燃料転換,省エネルギー対策,効率的生産を目指した設備の統廃合などの推進による成果である。

    本報告ではこの調査結果を報告するとともに,紙パルプ産業におけるエネルギー事情や温暖化防止対策に関する経済産業省および環境省の最近の動向を紹介する。

シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (156)
研究報文
  • Kotchaporn Thangunpai, Mir Ihara Paola Maria, Toshiharu Enomae
    原稿種別: research-article
    2024 年 78 巻 4 号 p. 324-332
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー

    Plastic waste has become a reality as a major global risk to the environment due to a lack of disposal facilities. Furthermore, CO2 continues to be generated throughout plastic production and plastic waste processes, damaging the environment as a greenhouse gas. To address these environmental problems from a standpoint of environmentally friendly materials, the concept of a biodegradable polymer composite is proposed in this research. Cellulosic pulp fibers and polycaprolactone(PCL)are both biodegradable and can be applied to create a biodegradable plastic-pulp fiber composite. In addition, it possesses excellent mechanical and structural properties depending on the design and manufacturing technology. In this study, we applied traditional papermaking techniques and heat pressurization to produce a PCL-cellulose composite with a high rate of degradation in soil and specific mechanical properties. Fourier transform infrared spectroscopy and scanning electron micrographs exhibited PCL was retained among pulp fibers. The soil degradation test clarified the PCL-cellulose composite degraded faster than plain pulp sheet since PCL is more biodegradable than cellulose.

  • タンカンパイ コッチャポーン, ミル イハラ パオラ マリア, 江前 敏晴
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 78 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/05/01
    ジャーナル フリー

    プラスチック廃棄物は,処理施設の不足もあって,不用意に環境に排出され,環境に対する地球規模での主要なリスクの1つとなっている。さらに,プラスチックの製造過程では,CO2が発生し続け,温室効果ガスとして地球温暖化の原因となっている。国連で採択されたSDGsのうち,特に「13:気候変動に具体的な対策を」は,特に重要で,地球の天然資源を保護し,気候変動に対処し,持続可能な開発の促進を目指す。本研究ではこの目標達成を視野に入れて,生分解性ポリマーを活用した紙系コンポジット材料の開発を行った。セルロース,キトサン,及びその他の天然ポリマーやポリカプロラクトン(PCL)は生物によって分解されるため,PCL-セルロース複合体は,配合比や製造方法を適切に設定することにより,多様な機械的物性を付与して用途開発の自由度が広がるうえに,コンポジットそのものが生分解性材料となる。本研究では,従来の製紙技術を応用してPCL-セルロース複合体を製造する技術を開発した。その複合体の土壌中で分解速度のほか,機械的,化学的,熱的,及び構造的特性を調べたので報告する。

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