2025 年 79 巻 2 号 p. 136-139
家庭紙業界では,衛生用紙の需要増加など堅調な推移を示しているが,古紙の品質低下やアカシア等の植林木利用率の増加が原因でピッチトラブルが増加している。
特に,トレンドである長尺トイレットロールにおいては,輸送効率の向上によるCO2排出量の削減,環境負荷の減少,ロールの交換頻度の減少,高密度に巻くことによる在庫スペースの減少など,多くのメリットがあるが,生産現場では,ロール径を小さくするために紙を強く引っ張ってきつく巻く必要があり,そのため原紙にピッチなどが付着していると断紙トラブルが発生しやすくなってしまうといった問題を抱えている。このような問題は,安定操業・品質向上を目指す製紙技術者にとってピッチ問題は悩ましい課題のひとつとなっている。弊社では,ピッチ対策の最も重要な考え方としてNISSIN-PCM(日新ピッチコントロールメソッド)を提唱し, ピッチ問題解決のための新しい提案を模索し続けて今日に至っている。必要に応じたピッチ対策を実施することが紙製品の品質向上・生産性向上へ繋がると考えており,本稿では,家庭紙工場のピッチトラブル解決に関する弊社の最新の取り組みについて述べる。