紙パ技協誌
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X線回折法とXMAを用いた紙中の石英含有量の分析
武井 俊達立花 和幸八重田 徹清水 文彦
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論文ID: 1504

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抄録
近年、オフセット印刷の需要の増大に伴い様々なニーズに応じた印刷物が製品化されている。紙品質が印刷に適しているか否かは紙の製造において極めて重要なポイントである。オフセット印刷の重要トラブルである版磨耗は、用紙の填料・顔料、インキ顔料粒子などによって印刷用の版の表面が磨耗され、版画線部へのインキ付着が悪化し、印刷濃度が薄くなったり、白抜け状になったりする現象である。しかし、版磨耗時の付着物質量は極微量であり、一般的な測定法(以下、集中法と呼ぶ)のX線回折法だけでは十分なX線強度が得られなかった。そこで、X線回折法の比較的新しい手法である平行X線光学系X線回折法を用いることにした。この方法は多層膜結晶によって平行ビーム化された入射X線を効率的に使用するもので、集中法と比較し約10~20倍のX線強度が得られる。前処理を検討して石英の微量分析法を確立し、電子顕微鏡と学振式摩擦試験を適用することにより、版磨耗の原因がタルクに微量含まれている石英であることを見出した。石英はモース硬度7と硬い鉱物である。この分析方法は版磨耗トラブルに限らず適用の分野は極めて広いと考えられる。
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© 2015 紙パルプ技術協会
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