1996 年 50 巻 12 号 p. 1806-1815
色素, Remazol brilliant blue R を指標として, 天然からこの色素を脱色できる能力 (リグニン分解能) を有する菌をスクリーニングした。その結果, 195種の試料から色素の脱色能を有する23種の菌を選抜できた。それらの菌の中でも, 563菌, V1 菌と V2 菌の3種類の菌は高い色素脱色能を有していた。スクリーニングにより得た色素脱色能の強い3種の菌 (563, V1, V2) とリグニン分解能を有する3種の木材腐朽菌 (P. chrysosporium C.uersicolor F.solani) を用いて, 2, 7-ジクロロジベンゾーp-ダイオキシン (2, 7-DCDD) の微生物分解を行った。 6 種の菌は 24.1%~ 83.1% の2, 7-DCDDを分解した。2, 7-DCDD を 1.25mM 添加した場合, 最高の分解率は15日培養では V2 の61.8% であり, 30日培養では P. chrysosprium の65.8%であった。また, 0.25mM の2, 7-DCDD を添加した場合, 最高の分解率は15日培養では V2 の 83.1% であり, 30日培養では V2の 79.7% であった。また, 2, 7-DCDD は培養中に一部菌体に取り込まれた。 2, 7-DCDD の分解率は6種の菌からの菌体外粗酵素液中のリグニンペルオキシダーゼ活性が高くなる程高くなった。