抄録
抄紙機の高速化にともないCDプロファイルの均一化, 繊維配向性の向上などを目的として直接的にヘッドボックス内部で紙料の希釈方式が採用されてきている。従来のヘッドボックスとの構造上の相違は, ヘッドボックス手前に数百本から数十本の希釈するためのチューブが設置されている点である。
高速抄紙機での問題は, 白水循環系に汚れが付着した場合, 流速が速いためその汚れが脱落して, 紙への汚点や粕穴等のトラブルの発生が懸念される事である。当社が開発した装置は, 特製のアクリル製セルの片方にレーザー投光部を置き, 希釈水を通水しセルが汚れると反対側の受光部に到達するレーザー光が弱くなり, 汚れを電気信号として感知する方法である。実機での応用例として上質紙抄造時と中質紙抄造時で比較した結果, 中質紙抄造時の方が汚れ易いことが電気信号を画像処理したグラフで認められ, 実機での汚れを予知できる事が判明した。中質紙抄造時の汚れ成分を分析したところ, 細菌類が主体のスライム, 填料, パルプ繊維が絡みあった複合的な汚れである事が判明した。有用な汚れ防止剤として卓上で選定したスライムコントロール剤を中質紙抄造時に添加し実際に評価したところ, この汚れモニターと実機で汚れに相関関係が有る事が認められた。
当社が開発したこの汚れモニターは, 汚れ防止剤としてのスライムコントロール剤の最適添加量が設定できるため, 経済的でかつ有用な汚れ防止システムの確立ができるものと考える。