抄録
水の臨界点, すなわち374℃ ・22MPaを超えた状態の水 (超臨界水) は, 温度や圧力により密度, 粘度等の物性値を連続的に変えることができ, 様々な反応の溶媒になり最適な反応場を提供する。その中でも超臨界水を反応媒体として用いた酸化, すなわち超臨界水酸化 (Supercritical Water Oxidation以下SCWOと略す) が近年注目されている。ここでは, 超臨界水の代表的な応用例として製紙製造工程から排出されるパルプ廃液のSCWOによる完全分解処理の基礎的検討を行った。
試験に使用した廃液はA製紙工場の再生パルプ製造工程からの排出水を重力濃縮処理した廃水である。(以下再生パルプ有機汚泥水と略す) 再生パルプ有機汚泥水の分解処理はオートクレーブを用いたバッチ実験によって確認した。実験結果は処理前のTOC 26,000mg/lがSCWO処理によってTOClmg/1以下さらにpHは5.6と直接放流に対して十分な結果であった。
超臨界水酸化は種々の有機物に対し, 高い分解特性を示すとともに排ガス処理設備が不要という大きなメリットを持ち合わせている。ダイオキシンに対する規制が強化されることを考えると, 超臨界水酸化は有力な処理技術の一つである。