紙パ技協誌
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木材腐朽菌によるバイオレメディエーション (III)
ダイオキシン分解菌による2, 4, 8-トリクロロジベンゾフラン及びジペンゾフランの分解
大川 浩樹伊藤 和貴橘 燦郎
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1999 年 53 巻 8 号 p. 1054-1062,036

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抄録

指標色素を用いたスクリーニング法により, 天然から選抜した3種のダイオキシン分解菌 (563, v1, v2) とそのスクリーニングの際に色素を強く脱色した2種の木材腐朽菌 [Phanerochaete Chrysosporium (P. C), Coriolus versicolor (C. V)] の計5種の菌を用いて, 2, 4, 8-トリクロロジベンゾフラン (2, 4, 8-TCDF) と塩素置換のないジベンゾフランの微生物分解を行った。5種の菌は2, 4, 8-TCDFを1.9~75.9%分解した。1.25mMの2, 4, 8-TCDFを添加した場合, 最高の分解率は15日間培養ではV1の36.2%であり, 30日間培養ではP.Cの75.9%であった。また, 0.25mMの2, 4, 8-TCDFを添加した場合, 最高の分解率は15日間培養ではc.vの36.4%であり, 30日間培養ではv2の72.8%であった。
一方, 選抜したv2菌とp.cの2種の菌を用いた塩素置換のないジベンゾフラン (DF) の微生物分解では, 両菌はDFを80.6~94.5%分解した。1.25mMのDFを添加した場合, 最高の分解率は15日間培養ではv2の91.7%であり, 30日間培養ではv2の94.5%であった。また, 0.25mMのDFを添加した場合, 最高の分解率は15日間培養ではv2の88.3%であり, 30日間培養ではv2の93.6%であった。また, 2, 4, 8-TCDFとDFは培養中に一部菌体に取り込まれた。
2, 4, 8-TCDFとDFの分解率の比較から, ジベンゾフランの分解には塩素の置換位置と塩素置換数が影響しているものと考えられた。

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