紙パ技協誌
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鉄鉱石を流動媒体および反応剤とする気泡流動層による直接苛性化プロセスの開発
永井 千秋
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2001 年 55 巻 3 号 p. 373-380,020

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抄録

製紙パルプ廃液からの苛性ソーダの回収の省エネルギー化を達成するために, 従来の薬液複分解によらない直接苛性化プロセスの主要装置である流動層方式高温苛性ソーダ回収反応装置の開発を実施した。このプロセスでは, パルプ廃液に含まれる炭酸ナトリウムを高温で高純度鉄鉱石と反応させフェライトを生成し, 加水分解で苛性ソーダを回収するもので, 生成鉄酸ナトリウムを加水分解の後, 乾燥工程を経て鉄鉱石をリサイクル再使用することに特徴を有する。本研究では, 500mm角流動層よりなる高温反応装置を連続運転することにより, 反応装置の好適な操作条件, 運転特性ならびに反応特性を明らかにした。その結果, 0.2~1mmの高純度鉄鉱石を流動媒体・反応剤として気泡流動層を形成し, 1,173~1,273Kでパルプ廃液中の有機分を燃焼させ, 廃液中の炭酸ナトリウムを鉄鉱石と反応させるのが好適であることを示した。加えて, 流動層の定常運転を阻害する流動媒体・反応剤粒径の痩少の対策として0.2mmアンダー粒径の粉状物の約50%を最低限の造粒割合として造粒し, これを反応装置に供給することによって流動層を恒常的に運転でき, 苛性ソーダ回収が図れることを, プロセスシミュレーションにより予測し, 40時間におよぷ連続運転にて実証した。

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