紙パ技協誌
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木材, 非木材, 古紙パルプと環境影響
ライフサイクルアセスメントによる評価
桂 徹
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2001 年 55 巻 7 号 p. 960-966,016

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抄録

海外における非木材パルプを配合した紙のライフサイクル・アセスメント (LCA), 及び三菱製紙 (株) において試みた非木材パルプあるいは古紙パルプ配合した上質紙のライフサイクル・インベントリー分析 (LCI) について紹介し, パルプの種類による環境影響の違いを明らかにすることを試みた。これらの結果から, 非木材パルプより木材パルプの方が環境負荷 (CO2排出量や固形廃棄物量で代表される) は若干少ないことが示唆された。木材と非木材を資源として比較する場合, 土地の利用形態, 生育期間, 農産廃棄物利用の可否等を考慮する必要があるが, その点をインベントリー分析に十分反映することは難しい。
古紙パルプは劣化した再生繊維, 非木材パルプは新しい繊維であり, 特性が異なるため単純に比較できないが, 化石燃料由来のCO2排出量は古紙パルプの方が多い, SOx排出量は非木材パルプの方が多いとの結果であり, 重要と考える環境影響により評価が異なる。資源有効利用の観点からは古紙パルプが, 農産廃棄物利用の観点からは非木材パルプが優れており, 状況に応じて木材パルプを代替, 補完する形で利用することが好ましい。

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