紙パ技協誌
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製紙関連製造施設における防虫対策について
田近 五郎
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2003 年 57 巻 4 号 p. 501-508,023

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抄録

医薬品工場や食品工場およびこれに準ずる製造工場では有害な生物による汚染から免れている義務がある。また, ここ数年で消費者の異物混入に対する関心は急激に高まりつつある。このため各製造現場ではこれら有害生物に対し更なる注意が必要となっているのが現状である。
実際に食品や医薬品工場における有害生物防除を効果的にするためには, 4つの業務が必要と考えられる。まず第一に昆虫類侵入・発生に対しての防御力を確保することである。つまり有害生物が侵入しにくい, 発生しにくい施設, 設備がどの程度整備されているかということである。第二の業務としてはこれらの防虫機能を持つ施設・設備を維持する活動である。日常で気が付くことはもちろんのこと, 最低年1回は施設の監査を行ない設備の不良箇所をただす必要がある。3番目は実際にどの程度の昆虫が製造現場内に侵入, もしくは発生しているかを明らかにするモニタリング業務である。このモニタリングにて危険と判断された場合に初めて最後の駆除業務が発生する。ただし, 駆除といっても薬剤の使用は最小限に抑える必要がある。よって発生源の特定を行ないながら, これを除去する活動が求められるのである。
異物混入を未然に防ぐ, あるいは混入事故があった場合でも対策を立案しやすい環境をあらかじめ備えておくのが防虫においては重要であり, また効果的な防虫システムとはこの4業務をPDCA活動に組み込んでいる状態であるといえよう。

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