紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
ECF漂白でのN材パルプとユーカリパルプの比較
ミューラー レナートバスタ ジリホルティンジャー リレモアヴェーン ゲルト
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 57 巻 6 号 p. 788-798,019

詳細
抄録

この報文ではECF漂白及び排水性状についてN材パルプとユーカリパルプとを比較する。検討は酸素を使用しないパルプ及び酸素で前処理しだパルプの両方について行った。
ECF漂白の最適化の検討ではすべてのパルプについて5段シーケンスを使用し, まだ排水性状の検討でも同様の漂白シーケンスを使用した。但し酸素で前処理したユーカリパルプについては3段シーケンスで漂白した。さらに全ての漂白段からの排水を全部一緒にした排水 (コンバインド排水) の生化学処理を行い処理前後の性状を調べた。
N材及びユーカリの酸素を使用しないパルプ及び酸素で前処理したパルプを5段シーケンスで89%ISO以上の白色度で漂白できた。最適漂白条件についてはN材及びユーカリの酸素を使用しないパルプ及び酸素で前処理したパルプ共に明らかな類似性がある。
CODの主要成分である, リグニン, 炭水化物, メタノール, 低分子の酸及び抽出物, の外部処理前後の性状は全有機成分の計算値とよく一致した。その結果, 排水中の有機成分はパルプの種類によって変動することがわかった。N材パルプ排水中のリグニン濃度はユーカリパルプ排水と比較して相当高い。N材パルプ排水では排水処理でのCOD減少率が低い。これは生化学処理ではりグニンがほとんど分解されないからである。
生化学処理によりステロールと樹脂酸はほぼ全量除去されるから生化学処理後の排水のMicrotox, Selenastrum, 及びCeriodaphnia Dubiaによる生物検定での反応は見られなかった。

著者関連情報
© 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top