紙パ技協誌
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白紙光沢に関する考察1
椎山 栄介
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2003 年 57 巻 6 号 p. 850-856,023

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抄録

塗工紙の優劣を判断する因子として, 白紙光沢をあげる人は少なくない。ここ数年, 塗工紙の白紙光沢は高まる一方であり, 特にA2コート紙の白紙光沢は, 10年前より10ポイントほど高くなっているのが現状である。また, デフレ経済の中, アート紙からコート紙へ需要が移行していることもあり, コト紙の高白紙光沢化の要求は一層強まっていると言える。
塗工紙は, 顔科やバインダーから成る混合物体であり, 一概に塗工層構成成分の性質から議論できるものではなく, 各構成成分の影響については, 過去, ほとんど検討されていない。
われわれは顔料やラテックスの種類・量を変化させて, 塗工紙の表面粗さや光学的性質を調べ, 白紙光沢との関連について検討を行った。検討の結果, 塗工紙の白紙光沢は, 塗工紙表面の粗さ (Ra, Sm) との相関が高く, 粗さが小さいほど高くなることが確認された。また, 粗さの一因子として, カオリンの配向度合いが影響していることが判った。また, 塗工紙の白紙光沢は, 全反射光中の正反射の割合 (本報では正反射分率と定義) との相関が高く, 正反射分率が高いほど白紙光沢は高いという結果であった。
二酸化チタンなどの高屈折率の顔料を使用しても拡散反射が増えるだけで, 白紙光沢にはほとんど影響していないということが判った。

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