抄録
本稿は、理工系留学生による口頭発表時の質疑応答において、発表者と質問者との間にコミュニケーション・ブレイクダウン(CB)が発生した時、両者がどのように対処して会話を回復させるかを分析したものである。CBの発生は、多くの場合、発表者である留学生側から沈黙を伴って示されるが、その回復に向けては、質問者側が具体例の提示や、質問意図の再提示を行うことで主導される場合が多く、発表者がより積極的に関与する必要があると思われた。また、CBの原因としては、用語の表現や語用論的な日本語の問題に関わるものや、質問者である教員との関係性によるもの等が挙げられた。