2018 年 20 巻 p. 13-18
ベトナムと日本の経済的関係が密接化し、文化的交流が拡大される背景の下で、近年ベトナムにおいては、日本語学習者及び日本に留学する学習者数が急激に増えている。現在ベトナムの大学の多くは、学習者の自律性を望ましいとするベトナム教育訓練省の教育の要求に応えるべく、日本語の自律的学習を促進する教室活動を導入している。従来型の伝統的な学習方法(教師が伝達し、学生が聞いて、メモを取る)への反省を踏まえ、教育アプローチの改善のための施策を展開している。本稿は、ハノイ大学やハノイ国家大学で導入しているピア・ラーニングの実態や成果について述べることで、ベトナムにおける日本語教育施策の方向性や課題を具体的に説明する。ピア・ラーニングの実践は、ベトナムの教育政策における「自律性重視」の方針に具体的な形を与えるとともに、こうした方針がベトナムの教育現場に浸透していくことを促すものであると言える。