抄録
この論考では、私がどのように日本研究にたどり着いたか、そしてその研究および日本語や武道修行の過程について述べたい。私と日本との縁は、青少年のころに始めた日本武道の一つ空手道にあり、のちの人生に多大な影響を及ぼした。空手道の稽古をやり始めると、次第に日本を意識するようになり、日本の歴史について関心を持ち始めた。さらに空手道の技の名称や号令などはドイツでも日本語が使われるため、日本語や漢字にも興味が湧くようになった。大学では、「日本学」と「スポーツ科学」を専攻した。そして1990年に初めて日本を訪れ、10ヶ月間、金沢大学に留学した。この最初の日本滞在では日本語力を高めることを目指し、日本武道の本格的な研究の一歩も踏み出して、空手道以外に居合道と杖道にも出会えた。ドイツの大学での修士の卒業後、再来日し、博士号取得に挑戦、その後、金沢大学に職を得た。そして現在に至るまで、より高度な日本語能力の獲得に努めつつ、武道研究とその修行を続けている。