Journal of Traditional Medicines
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Effects of traditional herbal-therapy on the infertile patients diagnosed by "zheng" who had not become pregnant following application of contra indicated step up therapy
Takashi KANOTakahisa USHIROYAMAMinoru UEKI
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2004 年 21 巻 4 号 p. 166-169

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抄録

他院で卵管不妊症, 男性不妊症を否定され, 所謂ステップアップ療法 (clomiphene, AIH, IVF-ET) を受けたものの妊娠が成立せず, 当院を受診した 157 例に随証漢方単独療法を行ったところ, 73 例で妊娠が成立, 53 例で生児を獲得した。 生児獲得率が最も高かったのは clomipheme 投与後の 32例 (40.5%で) あり, ついで clomiphene-AIH 後 16例 (32.5%) で, IVF-ET 後は 5 例 (17.2%) と低率であった。 最も投薬率が高かった方剤は加味逍遥散 (投与率;45.2 %, 生児分娩率;54.7%), 次いで, 当帰芍薬散, 桂枝茯苓丸であった。 症例の多くは本来 AIH, IVF の適応ではない散発性卵巣機能不全不妊症であり, clomiphene の頸管粘液減少作用によって Huhner-test が不良化したため AIH に step up したものの妊娠しないため, 最終的に全く適応ではない IVF を行なう事になった症例であった。 したがって, 今回妊娠した症例は clomiphene による医原性不妊症の可能性が高い。 以上の結果より, 適応がない症例に行われた AIH と IVF は漢方療法を凌駕できない事が明らかとなった。 漢方方剤は頸管粘液減少, 子宮内膜菲薄化を伴わず卵巣機能を改善する。 卵管や精子所見に異常が認められない卵巣機能不全不妊症のファーストチョイスは随証漢方療法と結論された。

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© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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