Journal of Traditional Medicines
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Mao-to, a Kampo medicine, inhibits motility of highly metastatic osteosarcoma cells
Sumiko HYUGAMasashi HYUGASadako YAMAGATATatsuya YAMAGATAToshihiko HANAWA
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2004 年 21 巻 4 号 p. 174-181

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抄録

漢方薬の癌転移抑制剤としての可能性を探るために, 癌細胞の転移能と高い相関性を持つ細胞運動能に着目し, 漢方薬を投与したマウスの血清を用い, 高転移性癌細胞の運動能を指標としたアッセイ系を確立した。 本アッセイ系により, ツムラより恵与された十全大補湯 (TJ-48), 補中益気湯 (TJ-41) 及び麻黄湯 (TJ-27) を調べた結果, 麻黄湯 (TJ-27) に強い運動能抑制活性が見出された。 当研究所薬剤部から提供された麻黄湯 (OMRC-K) を煎じてエキス剤とし, 麻黄湯 (TJ-27) と比較したところ, 同様の運動能抑制活性が認められたことから, 麻黄湯の癌細胞運動能抑制作用は生薬の産地に関係なく存在することが示唆された。 さらに, 麻黄湯は癌細胞の増殖に影響を与えない低濃度で運動能を抑制することが明らかになった。 麻黄湯の各構成生薬 (麻黄, 杏仁, 桂皮, 甘草) を煎じてエキス剤とし, 運動能に対する効果を解析した結果, 麻黄及び桂皮に阻害活性が見られた。 以上の結果は麻黄湯に癌転移抑制剤候補としての可能性があることを示している。

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© 2004 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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