Journal of Traditional Medicines
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Effects of Tokishakuyakusan on the ovary
in hypophysectomized rats
Mi Hwa CHUNGMichihisa TOHDAMasao HATTORI
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2007 年 24 巻 1 号 p. 31-38

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抄録
当帰芍薬散は古来より婦人科領域で使われている代表的漢方方剤の 1 つである。 また下垂体摘出ラット卵巣では卵胞の発育遅延、 骨密度の低下を引き起こすことが知られている。 そこで我々は, ラットの下垂体摘出後, 当帰芍薬散の経口投与を 1 週間行い, 投与後の卵巣を解析した。 下垂体摘出による卵巣重量低下を当帰芍薬散は回復させなかったが, 子宮重量低下に対する回復はみられた。 また, 下垂体摘出により卵巣内 StAR 蛋白質の mRNA 発現量は減少したが, 当帰芍薬散を投与することにより発現量の回復がみられた。 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド受容体 (PAC1), プロゲステロン受容体 (PR) の mRNA 発現量は下垂体摘出により上昇したが, 当帰芍薬散はこれを抑制した。 しかし, エストロゲン受容体α(ERα) の mRNA 発現量の変化は見られなかった。 さらに組織学的観察より, 当帰芍薬散は卵胞発達を促進する傾向が見られた。 また, 当帰芍薬散は骨代謝のマーカーである尿中 DPD レベルの上昇を抑制した。 以上の結果から, 当帰芍薬散は卵巣における卵胞の発達を促進し, 下垂体ホルモン由来の骨代謝を抑制することが示唆された。
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© 2007 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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