抄録
Ergosterol peroxide は薬用キノコ類の代表的なオキシステロール化合物であり, これまで抗炎症, がん細胞に対するアポトーシスや細胞増殖抑制活性などの様々な生理活性が報告されている。 従って, 抗癌性を有するキノコと呼ばれる17種の子実体, 5 種の菌糸体中に含まれる ergosterol peroxide やこの化合物の前駆物質である ergosterol の定量分析法の検討を行った。
種々な分析法を検討した結果, 検出器として DAD や APCI-MS2 を組み合わせた HPLC によって, ergosterol や ergosterol peroxide を一回の試料注入で分析することが可能となった。 分析した試料中 ergosterol は G. frondosa (0.283%, w/w) に, ergosterol peroxide は G. colossum (0.053%, w/w) に最も多く含まれていた。