抄録
Oxaliplatin (L-OHP) を含む FOLFOX 療法は, 切除不能進行・再発大腸癌の標準治療である。 L-OHP による感覚神経毒性は用量制限毒性の一つである。 今回, 我々は再発大腸癌症例への modified FOLFOX6 (mFOLFOX6) 療法に, 黄耆桂枝五物湯を応用し, L-OHP の有害作用であるしびれが軽減した症例を経験した。
症例は, 59歳, 男性。 再発大腸癌に対し, mFOLFOX6 療法が開始された。 4 サイクル目に L-OHP による四肢末梢の異常感覚を自覚した。 L-OHPによる神経毒性軽減を目的に, 7 サイクル目から黄耆桂枝五物湯が併用された。 神経毒性の重症度は牛車腎気丸の投与前, DEB-NTC の grade2 であったが, 投与後は grade1 で経過している。 黄耆桂枝五物湯の使用で L-OHP の神経毒性が軽減・抑制される可能性がある。