Journal of Traditional Medicines
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Testosterone 5α-reductase inhibitory constituents from the fruits of Rosa multiflora THUNB.
Hisayoshi NorimotoKeiko NakajimaSatoshi YomodaYasuo Morimoto
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2010 年 27 巻 2 号 p. 90-95

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抄録
脂漏性脱毛や尋常性座瘡の原因には, testosterone が 5α-reductase によって変換された活性型の 5α-dihydrotestosterone が関与することから, 同酵素の阻害薬がこれらの治療薬として注目されている。 我々はバラ科植物 Rosa multiflora THUNB.の果実である営実の 50 % EtOH エキスに5α-reductase 阻害活性を見出したが, 本研究では同エキス中の阻害活性成分の同定を試みた。
営実 50 % EtOHエキスのクロロホルム, 酢酸エチル各可溶部に強い阻害活性が認められた (0.6 mg/ml における阻害率はそれぞれ 69.8 %, 54.2%)。 そこで, これらの可溶部を各種のクロマトグラフィ-, 分取 TLC 等で分離精製した結果, 14種の化合物が得られた。 各種スペクトルデータなどにより, それらは multiflorin A(1), multinoside A (2), multinoside A monoacetate (3), isoquercitrin (4), ursolic acid (5), 3-acetyl ursolic acid (6), betulinic acid (7), 3β,6α,19α-trihydroxyurs-12-en-28-oic acid (8), lauric acid (9), myristic acid (10), palmitic acid (11), oleic acid (12), linoleic acid (13), γ-linolenic acid (14)と同定されたが, これらのうち12, 13, 14が強い阻害活性を示した (IC50 値はそれぞれ 52.2, 36.5, 7.3 μg/ml)。
更に, 営実 50 % EtOH エキスのクロロホルム, 酢酸エチル各可溶部に含まれる脂肪酸の含量を分析したところ, 1214の合計含量はそれらの可溶部の阻害活性に相関していることが明らかになった。 以上の結果から, 営実の 5α-reductase 阻害活性には少なくともこれらの成分が寄与していると考えられる。 なお, 5, 6, 810, 12は既知化合物であるが, 本植物からは初めて単離されたものである。
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© 2010 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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