Journal of Traditional Medicines
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Improving effects of Red Ginseng and its saponin constituents on blood fluidity
Kazuya MurataYasuyuki TsukiokaKikuyo NakaoKenzo MoriyamaKeiichi SamukawaKensuke NambaHideaki Matsuda
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2012 年 29 巻 4 号 p. 169-178

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抄録
紅参から得た 70% メタノール抽出エキス(RG-ext)がラットの血液流動性に及ぼす作用とその作用発現成分について検討した。
Micro channel array flow analyzer(MC-FAN)によるラット血液の全血通過時間,polybrene で誘起した赤血球凝集(PEA)抑制活性,及びユーグロブリン溶解時間(ELT)などを指標とし血液流動性を評価した。血液を低温処理すると全血通過時間が延長した。RG-ext は低温で誘発される全血通過時間の延長を抑制したが,白参エキス(WG-ext)には活性がなく,RG-ext は PEA を抑制したが,WG-ext の活性は弱かった。よって,RG-ext の血液流動性に対する作用は WG-ext より強いと示唆された。アジュバント関節炎モデルラットに RG-ext を連続経口投与すると,浮腫は抑制されなかったが,関節炎に起因する全血通過時間と ELT の延長は抑制された。RG-ext の活性成分を確認するため,各種人参サポニン [ginsenoside-Ro, -Rb 1, -Rg 1 および 20(S)-ginsenoside-Rg 3 [20(S)-Rg3]] について,低温で誘発される全血通過時間の延長と PEA に対する作用を検討した結果, 紅参特有サポニンである 20(S)-Rg3 が全血通過時間の延長を抑制し,PEA を抑制した。他のサポニンと比較して,20(S)-Rg 3 の活性が最も強力であることが判った。従って,紅参の血液流動性改善作用の一部は20(S)-Rg 3 が担っていることが明らかとなった。
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© 2012 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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