2013 年 30 巻 1 号 p. 41-50
本研究は, ラット胸部大動脈を実験に供し, キバナオウギ (A. membranaceus) 葉部抽出物の血管弛緩作用とその機序について, 検討することを目的とした。 葉部抽出物は, 内皮保持標本においてのみ, ノルアドレナリンによる収縮を濃度依存的に弛緩させた。 この弛緩作用は, NO 合成阻害薬 (Nω-nitro-L-arginine methyl ester) の前処置により抑制されたが, シクロオキシゲナーゼ阻害薬 (indomethacin) の前処置では影響を受けなかった。 インビボ試験では, 葉部抽出物の静脈内投与により, ラット血清中 NOx 濃度は増加した。 さらに, 葉部抽出物の有効画分を明らかにするため, 水溶性画分とブタノール画分に分画した。 葉部抽出物の水溶性画分は, 内皮依存性弛緩作用を示したのに対し, ブタノール画分は, 内皮の有無に因らずノルアドレナリンで収縮させたラット大動脈リング標本を弛緩させた。 以上の結果より, キバナオウギ葉部抽出物の血管弛緩作用には, 内皮由来 NO が重要な役割を演じており, その活性成分は水溶性画分に含まれている事が示唆された。