抄録
大気汚染物質の地区ごとの許容排出量を, 現況の汚染パターンを基にして, LPを用いて算出する上での問題点を考察する。目的関数を排出量最大とおいてLPを解くと, 場合によってひどくアンバランスな最適解が出ることがあり, また現実にはあり得ない最適解が得られることもある。目的関数や制約条件式に手を加えることで適切な解が得られる場合はよいが, それだけではうまくいかないこともある。特に, 汚染濃度の低い地域においては排出量がゼロの地区もあり, そのままではLPによる解を得ることができない。そこで, 想定し得る各種のケースについて理論的な考察を加えるとともに, 兵庫県内陸部の一地域を実例として取りあげて, 試算と検討を行う。その上で, ひとつの方策として仮想煙源法を導入し, 各種の試算を行って適切な方法をさぐる。