抄録
1976年7月から1978年10月の間に, 肺の腫瘤性変化を示した30症例に合計32回の経皮吸引針生検を行い, 結果の判明した27例について分析し検討した。
1)肺癌17例中15例(88%)に確診をつけることができた。悪性胸腺腫の2例, 肺転移1例および心外膜のう腫1例も確診できた。
2)炎症性腫瘤6例のうち1例には, クリプトコッカスを証明し診断の根拠となった。
3)合併症の主なものは気胸で32回中9回(28%)に起こり, その1例にはエラスタ針挿入による脱気を必要とした。
4)この検査法は肺の腫瘤性病変の診断に非常に有用であり, 患者に与える苦痛も少なく, その施行は簡単である。