抄録
最近の心肺蘇生法に関する知見の進歩には目覚しいものがある。ことに各種医療機関における集中治療部(ICU)の設置は, 単に重症患者の管理のみならず心停止, 心肺蘇生後の不安定な病態期にも大きな役割を果している。しかし, 一方では心肺蘇生はできても中枢神経系の機能回復のみられない, いわゆる植物人間の発生という一種の社会問題を生じている。従って, 最近では中枢神経機能の維持を目的としたcardiopulmonary cerebral resuscitation(CPCR)に関する研究が盛んに行われている。本稿では, このような最近の知見を紹介するとともに, 今後解明されるべきいくつかの問題点を指摘した。