Journal of UOEH
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多発性単神経炎を伴ったHTLV-Ⅰ Associated Myelopathy (HAM) の1症例
上田 陽一多田 穣治橋本 朋子辻 貞俊村井 由之
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1988 年 10 巻 4 号 p. 423-426

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抄録
42歳, 女. 29歳頃より両下肢脱力と, つっぱり感が出現し徐々に増悪した. 33歳頃から両下肢異常感覚と感覚鈍麻, 排尿障害が出現し, 40歳頃には杖歩行となった. 入院時, 両下肢に痙縮を伴う中等度の脱力と四肢深部反射亢進が認められた. 感覚障害は両側外側大腿皮神経, 浅腓骨神経および腓腹神経領域にあった. 髄液と血清の抗HTLV‐Ⅰ抗体は陽性であった. 感覚神経伝導速度検査で両側の大腿皮神経の活動電位は誘発されなかった. プレドニゾロン投与により感覚障害, 排尿障害の著明な改善, 痙性対麻痺の軽度改善が認められた. 電気生理学的検査では両側の外側大腿皮神経に低振幅の感覚神経活動電位がみられるようになったが, その感覚神経伝導速度は正常であった. 以上より, 末梢神経病変は軸索変性であることが示唆された. 本症例のように多発性単神経炎を伴ったHAMの症例の報告はない.
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© 1988 産業医科大学
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