Journal of UOEH
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十二指腸アルカリ分泌機構におけるプロスタグランディンの作用の特徴について
―セクレチンとの比較―
三浦 良史芳川 一郎大江 慶治
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1989 年 11 巻 3 号 p. 313-322

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抄録

十二指腸アルカリ分泌機構におけるprostaglandin(PG)の関与, およびシステアミンによる十二指腸アルカリ分泌障害に対するPGならびにセクレチンの影響の比較に関して, ラットの十二指腸潅流ループ実験系を用い検討を行った. その結果, 16, 16-dimethylprostaglandin E2(16, 16-dmPGE2)持続静脈内投与により用量反応性に近位十二指腸粘膜アルカリ分泌は刺激された. また内因性PG合成阻害剤であるインドメサシン前処置により, アルカリ分泌は抑制され, 16, 16-dmPGE2投与によりこの抑制は完全に回復した. さらに, システアミン前処置時においても16, 16-dmPGE2は既報のセクレチンによる成績と同様に, 障害されたアルカリ分泌を回復させた. 以上のように, PGはセクレチンと異なり, システアミンによる障害の有無にかかわらず, 十二指腸粘膜によるアルカリ分泌を刺激する作用が認められ, このことから十二指腸粘膜アルカリ分泌機構におけるPGとセクレチン両者の関与機序は異なることが推測された.

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© 1989 産業医科大学
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