Journal of UOEH
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風疹感染後に発症し自律神経障害を伴った急性多発根神経炎の1例
大成 圭子大西 晃生橋本 朋子山本 辰紀辻 貞俊村井 由之
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1993 年 15 巻 4 号 p. 297-302

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抄録
患者は32歳男, 発熱数日後より体幹・四肢に発疹を認め, ほぼ同時期に両下肢の痛みおよびじんじん感が出現した. 重症の肺炎のため検査・治療を受けた. 発症2カ月後肺炎が治癒した時点で, 便秘と悪心・嘔吐, 両下肢のじんじん感, 立ちくらみを主訴として神経内科で精査を受けた. 臨床的に急性多発根神経炎が強く疑われた. 起立性低血圧, 発汗低下が著明であった. 四肢の末梢神経伝導検査所見から, 神経線維の軸索変性と節性脱髄の混在が推定された. 脳脊髄液蛋白は150 mg/dlと上昇し, 細胞数は18/mm³であった. 風疹ウィルス抗体価上昇が末梢神経障害の原因を示唆する唯一の異常所見であった. それ故, 本例を風疹感染後に発症し運動・感覚および自律神経症状を呈した急性多発根神経炎と診断した. 上記の症状は徐々に改善し, 発症1.5年後の現在, 患者は事務職に従事している. 風疹感染後に発症し, 自律神経障害を伴った急性多発根神経炎例の報告は稀である.
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© 1993 産業医科大学
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