抄録
企業内の産業保健活動のための実践ツールとして開発された産業医サポートシステムの8つの段階の内,対象集団選択,需要調査についてその理論的考察を行った. 対象集団選択については,産業医の仮説設定の視点からその理論的背景を述べた. 一方,BITOPは,産業医が自分の所属する企業体の持つ構造と機能を事前によく理解しておくための項目で,既存の職場巡視結果とあわせて企画の際に用いるものとして提唱したものである. 需要調査については,産業医の初期仮定設定の限界と,リスク,ニーズ,デイマンドの違いを明らかにして需要調査の必要性を論ずると共に,手法論であるOHQがなぜその順番で行うべきかについて考察を行った. この2つの段階は、企業で働く様々な人々が求めているものと彼らに必要であるものを明確にするための同システムの要であり最も慎重に行うべき部分でもある.