抄録
Computed Tomography (CT) が, 肝の脂肪沈着の診断に, 非常に有効であった2症例を経験した. 1例は46才の女性にみられたアルコール性肝硬変に合併したもの, 他の1例は70才の女性で抗生物質による薬剤性肝炎によるものと考えられた. それぞれ臨床検査成績からはその指摘は困難であったが, CT検査により, 肝実質のdensityの全般的な減少から肝の脂肪沈着の合併を診断できた症例である. いずれも治療により臨床症状の改善とともに, CT像でも脂肪沈着の減少が証明された. CT検査は, 脂肪の特異なX線吸収係数のために, 肝の脂肪沈着の診断並びに治療効果の判定に安全で有用な検査法である.