Journal of UOEH
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ドキソルビシン中毒ラットの腰部後根神経節ニューロンのアポトーシスと核膜孔の検討
韓 漫夫赫 秋月大西 晃生山本 辰紀橋口 英志村井 由之
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1998 年 20 巻 2 号 p. 115-125

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抄録
ドキソルビシン(DXR)はラットの腰部後根神経節ニューロンに変性を惹起する. アポトーシスを示す細胞で陽性所見を示すTUNEL法を含む光学顕微鏡学的観察および電子顕微鏡学的観察において, DXR 8mg/kgの投与を受けたSprague-Dawleyラットの後根神経節ニューロンに, 比較的軽い核の変性所見および著明な細胞質の変性所見が認められた. この変性所見は, 細胞壊死でアポトーシスではないと判断された. 比較的軽い核の変性所見を呈し, その大部分がdarkニューロンと判断されたニューロンにおいて, DXR投与14日および20日後に核膜孔が不明瞭となりその数の低下が認められた. しかし, DXR投与群と対照群の間で核膜孔の大きさに差は認められなかった. DXRはこの核膜孔を通じて核内に入り一部核内から核外へ排出されると考えられる. 文献上われわれの知る限りDXR中毒ラットのニューロンで核膜孔の変化は検討されていないが, 本実験で認められた核膜孔の変化はDXR中毒ラットの後根神経節ニューロンの変性または壊死所見の一部と判断された.
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© 1998 産業医科大学
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