本研究は, 精神科実習前後の看護学生の意識構造と不安の変化を測定し, 心理的ストレスの程度とその内容を把握し, そのストレスが教育効果に与える影響を検討する目的で行った. 某短期大学看護学科3年生76名を対象に, 精神科実習前後に質問紙調査とSTAIテストを行った. 質問紙の因子分析を行った結果, 看護学生の意識構造は恐怖・嫌悪因子, 理解・受容因子, 社会的疎外因子, 否定的因子, 肯定的因子, 閉鎖的因子の6因子で構成されていた. また, 実習前後の学生の意識構造に変化が示された. STAIテストでは実習前の状態不安が高かった. 意識構造と不安について検討した結果, 特に恐怖・嫌悪因子, 閉鎖的因子, つまり患者への偏見によって不安が引き起こされたことが示された. この不安は実習に対する心理的ストレスとなっていた. 精神病に対する恐怖・嫌悪・閉鎖性などのイメージがもたらす不安であり, コミュニケーションが上手くとれるかを心配していた. しかし, 精神科看護への興味, 関心は実習後も維持できていた.
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