Journal of UOEH
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20 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 韓 漫夫, 赫 秋月, 大西 晃生, 山本 辰紀, 橋口 英志, 村井 由之
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ドキソルビシン(DXR)はラットの腰部後根神経節ニューロンに変性を惹起する. アポトーシスを示す細胞で陽性所見を示すTUNEL法を含む光学顕微鏡学的観察および電子顕微鏡学的観察において, DXR 8mg/kgの投与を受けたSprague-Dawleyラットの後根神経節ニューロンに, 比較的軽い核の変性所見および著明な細胞質の変性所見が認められた. この変性所見は, 細胞壊死でアポトーシスではないと判断された. 比較的軽い核の変性所見を呈し, その大部分がdarkニューロンと判断されたニューロンにおいて, DXR投与14日および20日後に核膜孔が不明瞭となりその数の低下が認められた. しかし, DXR投与群と対照群の間で核膜孔の大きさに差は認められなかった. DXRはこの核膜孔を通じて核内に入り一部核内から核外へ排出されると考えられる. 文献上われわれの知る限りDXR中毒ラットのニューロンで核膜孔の変化は検討されていないが, 本実験で認められた核膜孔の変化はDXR中毒ラットの後根神経節ニューロンの変性または壊死所見の一部と判断された.
  • 川本 利恵子, 金山 正子
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 2 号 p. 127-134
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 精神科実習前後の看護学生の意識構造と不安の変化を測定し, 心理的ストレスの程度とその内容を把握し, そのストレスが教育効果に与える影響を検討する目的で行った. 某短期大学看護学科3年生76名を対象に, 精神科実習前後に質問紙調査とSTAIテストを行った. 質問紙の因子分析を行った結果, 看護学生の意識構造は恐怖・嫌悪因子, 理解・受容因子, 社会的疎外因子, 否定的因子, 肯定的因子, 閉鎖的因子の6因子で構成されていた. また, 実習前後の学生の意識構造に変化が示された. STAIテストでは実習前の状態不安が高かった. 意識構造と不安について検討した結果, 特に恐怖・嫌悪因子, 閉鎖的因子, つまり患者への偏見によって不安が引き起こされたことが示された. この不安は実習に対する心理的ストレスとなっていた. 精神病に対する恐怖・嫌悪・閉鎖性などのイメージがもたらす不安であり, コミュニケーションが上手くとれるかを心配していた. しかし, 精神科看護への興味, 関心は実習後も維持できていた.
  • 谷川 攻一, 重松 昭生
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 2 号 p. 135-144
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    98名の救急二課程修了救急隊員と標準課程修了救急隊員(以下当該課程修了救急隊員)を対象として, 一次救命処置の13項目の技術について5段階評価を行い, 技術修得の程度と, 当該課程修了年次および応急手当指導員講習修了の有無との関係について調査した. その結果, 呼吸の確認, マスクの保持および適正な換気の技術レベルにおいて不適切な救急隊員が対象者の半数に認められた. 当該課程修了年次別に一次救命処置技術レベルを比較した場合, それぞれの間に有意差は認められなかった. しかし, 応急手当指導員講習修了者に比べて, 未修了者では意識の確認や呼吸の確認, 気道の確保などの技術レベルで, 低い傾向がみられ, 特に当該課程修了後4年経過した救急隊員では有意差をもってその低さが認められた. 一次救命処置の中で呼吸管理は患者救命の要であり, 当該課程教育や再教育のあり方についての早急な検討が必要である.
  • 平岡 克己, 永田 忍彦, 鈴木 一正, 川尻 龍典, 黒川 晋, 河村 孝彦, 城戸 優光
    原稿種別: 症例報告
    1998 年 20 巻 2 号 p. 145-151
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    老人男性に対し, イソニアジド, リファンピシン, エタンブトールによる抗結核化学療法開始後4週目に, 皮疹と共に発症した肺病変の1例を報告する. CT上両側肺野末梢優位の多発性充実影を示し, ステロイド療法が奏功した. エタンブトールによる肺病変は過去1例のみ報告があるが, 本症例は報告例と臨床経過, 胸写像が類似していた. DLSTの結果とCT所見が示されるのは本症例が初めてである.
  • 山下 優毅
    原稿種別: 総説
    1998 年 20 巻 2 号 p. 153-162
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    T細胞の抗原認識機構について抗原提示細胞との相互作用における遺伝的拘束の観点から最近の知見をレビューした. T細胞は, 抗原提示細胞によって提示された抗原をMHC産物と共に認識する. この時, CD4陽性ヘルパーT細胞は抗原と共にMHCクラスⅡ分子を, CD8陽性キラーT細胞は抗原と共にMHCクラスⅠ分子を認識する. MHCクラスⅠ分子はα鎖とβ2ミクログロブリンから, MHCクラスⅡ分子はα鎖とβ鎖から構成されている. T細胞の抗原受容体はαβ鎖またはγδ鎖およびCD3複合体から構成されている. 抗原は抗原提示細胞により処理され, MHC分子と共にT細胞に提示される. しかし, 抗原提示細胞による抗原の提示のみではT細胞の活性化は不充分で, T細胞を充分に活性化するためには接着分子やサイトカイン等の共刺激因子が必要である. T細胞の抗原認識機構の生物学的意義および疾患との関連について考察した.
  • A.K. ムカジー, D.P. ナグ, Y. カクデ, K. ラビバブ, M.N. プラカシュ, S.R. ラオ
    原稿種別: 報告
    1998 年 20 巻 2 号 p. 163-170
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    個人曝露用Anderson力スケードインパクターを用いてバンガロールにおける二つの主要な穀倉内における粉塵のサイズ分布を調べた. 穀倉内の粉塵および個人曝露の両者について粉塵のサイズ, および蛋白質と炭水化物含量を詳細に分析した. 両穀倉における個人曝露量はACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists)の規制値をはるかに超えるものであったが, 顆粒の平均サイズ(MMD)は吸入性粒経の範囲よりは高かった. 蛋白質と炭水化物の分析の結果, 穀物の膜由来の糖蛋白質であることが示唆された.
  • 田代 拓, 藤代 一也, 東 敏昭, 日野 義之, 大久保 利晃
    原稿種別: 資料
    1998 年 20 巻 2 号 p. 171-180
    発行日: 1998/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我が国においては, 1993年4月より化学物質等安全データシート(MSDS; Material Safety Data Sheets)の運用が開始されている. しかし, 現在普及しつつあるMSDSの内容をユーザーの立場より調査した報告は少ない. 著者らは, 某耐火レンガ製造業で使用する化学物質に添付されたMSDSの内容を調査し, 20項目について比較検討した. 1995年4月の第1回調査では1992年7月-1994年3月に作成された159例のMSDSについて調査し, 1997年4月の第2回調査では1994年4月-1996年11月に作成された81例のMSDSについて調査した. その結果, 「危険有害性の種類」を記載したものは第1回調査100例(63%)第2回調査75例(93%)であり, 「危険有害性の内容及び程度」を記載したものは第1回調査81例(51%)第2回調査80例(99%)であった. その他の多くの項目でも第2回調査における記載率は第1回調査時の記載率にくらべ向上し, 内容も充実したものに変化しつつあることが判明した.
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