抄録
98名の救急二課程修了救急隊員と標準課程修了救急隊員(以下当該課程修了救急隊員)を対象として, 一次救命処置の13項目の技術について5段階評価を行い, 技術修得の程度と, 当該課程修了年次および応急手当指導員講習修了の有無との関係について調査した. その結果, 呼吸の確認, マスクの保持および適正な換気の技術レベルにおいて不適切な救急隊員が対象者の半数に認められた. 当該課程修了年次別に一次救命処置技術レベルを比較した場合, それぞれの間に有意差は認められなかった. しかし, 応急手当指導員講習修了者に比べて, 未修了者では意識の確認や呼吸の確認, 気道の確保などの技術レベルで, 低い傾向がみられ, 特に当該課程修了後4年経過した救急隊員では有意差をもってその低さが認められた. 一次救命処置の中で呼吸管理は患者救命の要であり, 当該課程教育や再教育のあり方についての早急な検討が必要である.