Journal of UOEH
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末梢性髄鞘蛋白22遺伝子が重複を示すCharcot-Marie-Tooth病1Aでは髄鞘層数に比較して軸索が小さい
大西 晃生山本 辰紀池田 正人
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2000 年 22 巻 2 号 p. 107-117

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抄録
末梢性髄鞘蛋白22遺伝子が重複を示すCharcot-Marie-Tooth病1A(CMT 1A)の腓腹神経の有髄線維において, 軸索萎縮が生じるか髄鞘が厚くなるかについては意見が一致していない. それゆえ, 過去の文献では遺伝子診断が行われていない遺伝性運動感覚性ニューロパチー, タイプ1で検討された有髄線維の髄鞘層数と軸索横断面積の関連をCMT 1Aの腓腹神経の有髄線維で組織学的に再検討した. 電子顕微鏡学的所見の検討では軸索周囲長および軸索横断面積は対照群(9例)よりもCMT 1A群(8例)で小さかった. (P<0.01). しかし, 髄鞘層数には両群間で差が認められなかった. 軸索横断面積と髄鞘層数の回帰分析では, 髄鞘層数が40以上の有髄線維において, CMT 1A群の軸索横断面積が, 対照群の軸索横断面積より小さかった(P<0.05). 以上の結果より, 大径有髄線維では軸索横断面積がCMT 1A群で対照群より小さいと結論した. それゆえ, CMT 1AにおいてはSchwann細胞の軸索に対する作用に障害が存在するために軸索萎縮が生じると推定された.
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© 2000 産業医科大学
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