抄録
めまいの大脳皮質局在診断における意義を調べるために, 回転性あるいは非回転性めまいを主訴としたテント上病変12症例の臨床像を解析した. 病変は右大脳半球病変が8例, 左が4例であった. 病変部位は中心溝近傍が3例で, 他は測頭葉から頭頂葉にかけて6例と多かったが後頭葉限局性病変も3例あった. 回転性めまいは3例に認められ, そのうち2例は中心溝近傍の病変で, 1例は測頭-頭頂葉移行部病変であった. 残り9例の訴えは非回転性めまいであった. 大脳半球病変によるめまいは, 測頭葉, 中心溝近傍など動物実験でいわれてきた前庭皮質投射領域に相当する部位で多かった. ただし後頭葉病変での非回転性めまいは, めまいに関連する大脳半球内のネットワークの存在とそのバランスの障害を示唆するのかもしれないと思われた.