Journal of UOEH
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内分泌撹乱およびその他の化学物質の職業性曝露に関連する男性リプロダクティブ・ヘルス ― 疫学的知見
高橋 謙花岡 知之Guowei PAN
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2004 年 26 巻 1 号 p. 23-40

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抄録

職業性曝露に関連するヒト, 特に男性生殖系影響に関する研究の趨勢は. 1990年代初頭頃に内分泌撹乱化学物質(endocrine disrupting chemicals, EDC)の概念が普及して以来分岐している. それ以前の研究の過半は限られた範囲の化学物質を対象に実施され, 単一かつ比較的高濃度の曝露による生殖毒性の評価という枠組みを有していた(従来の枠組み). この範疇の研究は現在も認められるが. EDCの概念の普及以来男性生殖系に関する研究については, 内分泌撹乱作用の可能性をもった広範な化学物質の探索および化学物質の複合微量曝露の影響評価という新しい枠組みが与えられている. また両方の枠組みをもった研究もある. 新しい枠組みをもった近年の研究では, 男性生殖機能を評価するための標準的検査手法やより鋭敏な検出力をもった研究計画が採用されるようになった. その結果, 職業環境中に内分泌撹乱化学物質の存在が示唆されている. しかしながら, 職業性曝露を有する集団の同定や曝露評価に伴う困難から, 疫学的知見の解釈は制約を受ける. 今後は, 知見の統合とともに慎重なプロトコールに立脚し, 職業曝露集団に関する疫学研究の範囲を拡大する必要がある.

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© 2004 産業医科大学
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